だんだんあったかくなってきて、いよいよ春が来た!という感じですね。
「食を旅するイラストレーター」織田博子(オダヒロコ)です。
いろいろな国をめぐり、現地の人と料理を作り、地元の市場をめぐり、ともに食卓をかこむ旅をしています。
「世界の家庭料理」の魅力的な世界を、イラストと文章で伝えていきたいと思います。
「世界家庭料理の旅」、今回はチェコを訪れました!
まるでおとぎ話のような街並みの、チェコ・プラハ。
チェコは中欧に位置する内陸国。
ロシアやオーストリア、ドイツという大国に囲まれ、影響を受けながらも
独自の文化を守り続けてきた、誇り高い人びとの国です。
チェコの第一印象
チェコの人って無口で、そんなにフレンドリーな感じじゃないのかな?という印象を受けたけど、
ホテルの部屋にたどり着くと、おしゃれなテーブルの上にはカゴからあふれる山盛りのお菓子。
太ったおばちゃんが「さぁ、いっぱい食べてね!」と言ってるような感じのおもてなしに
すごくギャップがあって、一気に親しみを覚えた。
日本が大好きな、レオナさんのおうちへ
プラハで日本語を学ぶレオナさんは、日本への留学経験もあり、日本語ペラペラ。
チェコからたった一人だけ選ばれる、交換留学の試験に合格したという努力家の女の子。
「はじめまして!レオナだよー」
トラム(路面電車)をのりつぎ、プラハ郊外のレオナさんちに向かう。
チェコのかわいいマミンカが腕をふるった家庭料理を、いただきます!
「いらっしゃい!」と迎えてくれたマミンカ(チェコ語で「お母さん」)。
小柄な体と満面の笑顔で、だきしめたくなるほどかわいい。
料理とおもてなしが大好き!という、レオナさんの"彼氏の"お母さん。
「私、お母さん大好き!」とこっそり日本語で教えてくれたレオナさん。
本当の親子のように仲良し。今日も、朝から一緒にご飯を作ったとか。
さあ、いただきます!
「チェコでは、料理の最初は必ずスープ」。細い麺の入ったチキンスープ。
チェコでよく使われるハーブ、マジョラムの香りがきいている。
麺が入っているのは、「東アジアの人びとが東欧に来た時にもたらしたのでは?」という、歴史のロマンを感じる説も。
「チェコのお好み焼きだよ」。
ジャガイモと小麦粉を焼き、チーズをそえた料理「ブランボラーク(Bramboráky)」。
外はカリカリ、中はモチモチの食感がたまらない。
レストランにはない、チェコの家庭の味なのだとか。
次はメインディッシュ、「スヴィチコヴァー・ナ・スメタニェ(Svíčková na smetaně)」。
肉に酸味のあるジャムを加えるのは、北欧でもよく見られるスタイル。肉の旨みをひきたたせ、さわやかな後味になる。
「この料理は、チェコ語で『ろうそくみたい(Svíčková)』って意味なんだよ。
でも、なんでろうそくっぽいんだろう?」と調べるレオナさん。
調べてみると
「料理に使用する豚の背肉(ロース)がろうそくのように細長いから」
レオナさんとお母さんも「知らなかったー!」とびっくり。
ふだん身近すぎて、なかなか意識することがないことも、外国の人の目を通すと新たな発見があるのかもしれない。
食後のデザートは、お手製のケーキ「シュトルーデル(štrůdl)」。
クランベリーの酸味と、甘いクリーム。しっとりした生地とよくあってる。
お店顔負けの見た目と味だけど、二人で作ったそう。
日本語、英語、チェコ語を交えながらの楽しいランチでした。
ごちそうさまでした。
「おもてなしをすると、幸せな気持ちになるの」
この日のためにわざわざブルノ(プラハの東180kmに位置する街)から来てくれたお母さんに、お礼の言葉を言う。
すると、輝くような満面の笑顔で「おもてなしをすると、幸せな気持ちになるの!あなたたち、たくさん食べるから食べさせ甲斐があるわー!」。
ランチの間もずうっとニコニコ、言葉はわからないけど軽快なジョークを飛ばし、少女のようによく笑うお母さん。
無口で礼儀正しい印象だったチェコの人びとの、また違った一面を見られたランチでした。
レシピ
スヴィチコヴァー・ナ・スメタニェ
たっぷりの牛肉を使って作る、じんわりとおいしいレシピ。
- サーロインに塩を少々まぶして、少しおいておく。
- 薄切りにした野菜を、たまねぎがきつね色になるまで炒める。
- 野菜を取り出し、輪切りにしたサーロインを焼く。
- 薄切りにしたたまねぎを、きつね色になるまで炒める。
- 4にじゃがいも、塩小さじ1、ターメリックパウダー大さじ1/2を加え、さらに炒める。
- 蓋をして2分煮る。
- 種を取った青唐辛子、水2カップを入れ、中火で煮る。
- 煮立ったら3を鍋に入れ、蓋をして10分ほど弱火で煮込む。
- 7をお皿に盛り、1㎜幅に薄く切った青唐辛子、きざんだコリアンダーの葉、4を飾り付ける。
- めしあがれ!
食を旅するイラストレーター・織田博子
ユーラシア大陸を一人旅し、家庭料理や人を描いています。著書「女一匹シベリア鉄道の旅」(イースト・プレス)。
KitchHikeについて
世界の家庭料理を旅しよう!
KitchHikeは、世界中の食卓で料理を作る人と食べる人をつなぐマッチングサイトです。
日本に住む外国人COOK特集
日本に住む外国人の食卓で、本場の家庭料理を味わってみませんか?
人気の外国人COOKのメニューを見て、実際に食べに行ってみよう!
【関連記事】
(2015年3月17日「KitchHike マガジン」より転載)