アメリカの人気ファッション誌、VOGUEで「芸者」風スタイルの写真が掲載されたモデル、カーリー・クロスが批判を浴び、2月15日にTwitter上で謝罪する事態に追い込まれた。批判は「日本の文化を盗用した」という内容が主だったが、日本人からは、「それほどおかしくない」と擁護するツイートもみられた。
カーリー・クロスの写真が掲載されているのは、VOGUEの最新刊、2017年3月号。
Twitter上に転載された写真やこの問題を報じた記事を参照すると、カーリーは日本の着物のような雰囲気のデザインのドレスなどを身にまとい、日本酒の樽の前や神社のような場所の階段、相撲取りの横など、いくつかの写真でポーズを取っている。しかし一部は朝鮮文化系の衣装のようにも感じられる。
LAタイムズによると、カーリーはアメリカ国籍で、家族はアジア系というわけではない。
この写真に対して、ソーシャルメディア上では、カーリーとVOGUE誌の両方に対して「縁のない文化を盗用している」と非難する声が挙がった。
同誌はこの号を「diversity issue」と銘打っていた。特集で多様性を打ち出していたにもかかわらず、日本での撮影で日本人やアジア系ではなく、白人のカーリーをモデルとして登用したとして批判されている。
■「文化の盗用」とは?
日本で過去にこの問題が取り上げられた例はあまりないが、ハリウッドなどでは頻繁に問題になる「文化の盗用」。この問題について、ウェブメディア「CELESY」は以下のように解説している。
つまり、これらのコミュニティの人々は文化的、宗教的な意味合いがある伝統をその意味を理解せず、その上勝手にトレンドとして使用を煽るような行動は、彼らの文化を盗用していると感じている。
白人は他の文化を一部利用するも、個人の裁量でそれを利用しないも選択の余地があるけど、マイノリティの人々はその文化を背負って未だ人種差別が残る社会で生きていくしか道がない、という不平等な文化搾取からもこの「盗用」という表現が為されている。
(【連載企画第一弾】Cultural appropriation(文化の盗用)って何?人気フェス・コーチェラから見えてくる意外な一面|海外セレブ&モデルの情報満載[セレシー]より 2016/06/09)
アメリカでは2016年、ディズニーが販売するハロウィンコスチュームに、文化が盗用されたとして、ニュージーランドの先住民マオリ族が抗議の声をあげた問題もあった。マオリ族が名を連ねるマオリ党のマラマ・フォックス氏は、「他者の文化の信仰や歴史を食い物にして、利益を得ようとしている」と批判していた。
炎上騒動に対して、カーリーはTwitter上で謝罪の声明を発表した。
この作品は私のものではない文化を盗用したものでした。このような、文化をきちんと取り扱わない撮影に参加したことを心から申し訳ないと思っています。私の目標は、常に、女性たちを力づけ、インスパイアすることです。私は今後の撮影や企画では、こうした目的から絶対に逸脱しません。
■過去にも類似の炎上騒動が
こうした炎上騒動の背景には、カーリーが過去にも文化盗用を指摘されたことがあったようだ。カーリーは下着ブランド、ヴィクトリアズ・シークレットのモデル「エンジェル」を務めていた際に、ネイティヴ・アメリカン風のヘッドドレスを着用したことで、2012年11月に謝罪に追い込まれている。
ヴィクシーショーの最中に、誰かを傷つけるようなことがあったなら、本当に申し訳なく思っています。私は、ヴィクトリアズ・シークレットが、あの服装を放送から削除するという決定を支持します。
Twitterではカーリーが再び類似の炎上騒動を起こしたことを批判する意見もみられた。
あなたは過去の失敗からまだ学んでない。
■擁護のメッセージを送る日本人も
一方、日本人のツイートでは、「それほど変じゃないのでは」という意見も挙がり、カーリーに擁護のメッセージを送る人々も。
私は日本人ですが、あなたの写真は好きです。私は不快に感じることはなかった。どうか、謝らないで。