ロシアのプーチン大統領が公の場から姿を消して10日が経過している。世界中が不思議に思い始めた。
プーチン大統領の不在が長引いているため、クレムリンの動きがちょっとした中断から長期間の停滞へとなっている。プーチン大統領が最後に公の場で姿を現したのは、3月5日に行われたイタリアのマテオ・レンツィ首相との会談だ。3月11日には、カザフスタン訪問をキャンセルした。これがきっかけとなって、プーチン大統領の行方が追跡されるようになった。カザフスタン政府のある情報筋がロイターに語ったところによると病気が理由だったということだが、この何ということもないスケジュールの変更が関心を掻き立てることになったのだろう。しかし、ロシアの観測筋は、プーチン大統領が12日に行われる予定だったロシア連邦保安局(FSS)の定例会合も欠席したことで警戒をより深めている。
ロイターによると、会合日程のキャンセルが相次いだことでネット上ではさまざまな噂が飛び交い、すぐに#ПутинУмер (プーチンが死んだ)や#WhereIsPutin(プーチンはどこに)といったハッシュタグがTwitterでトレンド入りした。 さらにネット上ではプーチン大統領をからかう書き込みがあっという間に拡散した。ウクライナでは、子供ですらプーチン大統領が宇宙人に拉致される漫画の動画をYouTubeに上げている。
プーチン大統領のスポークスマン、ドミトリー・ペスコフ氏は噂を沈静化させようと必死だが、消息不明が長引くにつれて疑惑が加速している。病気ではないか? 死んだのでは? 愛する子供の出産に立ち会っているのでは?
ペスコフ報道官はこうした疑惑を完全に否定している。12日には、大統領は健康で、彼が手を握ったら「あなたの手の骨が折れるだろう」と、健康不安説を一掃した。
ロシアの国営テレビも公式見解を踏襲しようとしている。ワシントン・ポストによると、13日、プーチン大統領がロシア最高裁判所長官と面会した、撮影時期が不明の映像を公開した。
それでもなお、噂はこの週末も加熱する一方だった。イスラエルの前ロシア大使はイスラエルの新聞「ハーレツ」に、「軍の一部」と「富裕層の実業家たち」が水面下で進めていたクーデターではないかという説にまで言及した。
独立系の報道機関「ドーシチ」の注目に値するレポートによると、プーチン大統領はノブゴロド州内の湖畔の邸宅にいるという。ロイターによると、ペスコフ報道官は15日、この件についてのコメントを拒否した。
プーチン大統領がイタリアのマテオ・レンツィ首相との共同記者会見に臨む。3月5日。(Photo credit SERGEI KARPUKHIN/AFP/Getty Images)
プーチン大統領が行方不明となったことで、ロシア国内では緊張が高まっている。2月27日には野党指導者のボリス・ネムツォフ氏が暗殺され、ロシアの政治状況に警鐘が鳴らされている。この事件が深刻な事態を招いているのも、プーチン大統領自身のイメージによるところが大きい。そして大統領が病気かもしれないということを素直に認めることがなぜできないのかということにも関わってくる。
ロシア生まれのジャーナリスト、ジュリア・ヨッフェ氏はワシントン・ポストへの寄稿で「プーチン大統領は自分の弱点を決して見せないように、慎重にイメージ作りをしてきた。それは激しい内部抗争があるロシアでは重要なことなのだ」と述べている。「もし少しでも弱みを見せたら、その人のすべてが弱点となる。そして、餌食となる」
16日には、キルギス大統領との会談が予定されている。そしてプーチン大統領のスケジュールに何か追加されるのか、謎の失踪が終わるのどうか世界の注目が集まっている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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