ご存知の通り、タイの首都バンコクで、8月17日と18日に連続で爆発事件があった。特に17日の爆発では死者が20人を超える、バンコクの史上最悪の事件となった。
この事件を受けて、GE等の外資系企業の多くは直ちにバンコクへの渡航自粛を発令した。日本企業でも、渡航自粛している企業が多くあると聞く。
実際、事件のあったサイアムの近辺では、今でも厳戒態勢が続いている。最初の爆発があった「エラワン廟」を見下ろす歩道は、未だに立ち入り禁止になっている。
「エラワン廟」の向かいにあるホテル近辺は、立ち入り禁止になっている。
「エラワン廟」のはす向かいにある、普段は大勢の人で賑わう大規模ショッピングモール「セントラルワールド」前の広場は、立ち入り禁止になっている。
企業として社員の安全を確保する必要性があるのは理解した上で、それでも敢えて言いたい。今こそ、バンコクを訪れるべきである、と。自分自身、2回目の爆発の翌日からの出張を、取りやめることなく、バンコクを訪れて来た。このように考える理由は3つある。
1)今回のテロの目的は、タイの観光産業へのダメージを狙っていると言われている。もしそうであれば、この事件のせいでタイやバンコクへの訪問者が減ってしまったら、それこそテロリストの「思うつぼ」である。極論と思うかもしれないが、実はオーストラリアのアボット首相も、事件後に自国民に対して「タイを訪れよう」と呼びかけている。
2)当然だが、事件直後のバンコクは、普段より厳しいセキュリティチェックが行われている。大きなホテルやビルに入る車には、普段は行われていないチェックが実施されている。
ショッピングモールの入り口でも、厳重な持ち物検査が行われている。今のバンコクは、世界の他の都市より危険度が高い、という根拠があるだろうか?実際、この1週間に日本のメディアで報道されただけでも、パリ行きの電車で乱射テロ事件があり、中国山東省で爆発があり、韓国と北朝鮮が交戦し、相模原の米軍施設でも爆発があった。世界のどこにも「絶対安全」な場所は無いのが現実である。
3) 実際にバンコクで何か事件があったとしても、それに巻き込まれる可能性は決して高くない。計算してみれば一目瞭然だが、今回の事件の負傷者の数は、バンコクを訪れる旅行者やバンコク全体の人口から考えれば、ごくわずかである。
「エラワン廟」は既に再開されている。
バンコクの街も、相変わらず大渋滞である。こんな事件の後でも、バンコクの街は活気を失ってはいない。テロに負けないためにも、是非、今こそ、バンコクを訪れて頂きたい。