「やせたい」一心で、突発的に1カ月間ヴィーガン生活やってみました。

結果はどうなったかというと……。
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Kazuhiko Kuze

本当に何気ないきっかけでした。

4月6日の昼下がり。いつものように、編集部の同僚たちとお昼ごはんを食べに行った時のこと。

蕎麦屋さんに向かう途中、編集部の学生エディターの長澤史佳さんと、私がこれまでの人生でことごとくダイエットに失敗した話をしていました。

そこで、長澤さんが「ヴィーガンやってみたらやせるんですかね?」と提案してくれました。長澤さんは以前から、肉や魚だけでなく卵や乳製品もとらないヴィーガンの食生活に関心がある、と話してくれていました。

短絡的な私は、「よし、今からヴィーガンやろう。2人でやってみよう」と、いきなり長澤さんを巻き込んでヴィーガン生活を始めることを宣言しました。

ヴィーガンになるきっかけは、動物愛護や、環境資源の保護、健康志向など人によって様々ですが、私の場合は単純に、

やせたい

だけでした。

ヴィーガンをやるにあたって決めた「3つのルール」

さっそくお蕎麦屋さんで、ヴィーガン生活をスタート。ざる蕎麦を注文しました。

ここでいきなり、問題発生。

蕎麦つゆが、かつおだしだったのです...。

ヴィーガンはかつおや鶏ガラといった動物性由来のダシすらとってはいけない、という決まりになっていることを、この時初めて知りました。

仕方なく、醤油で食べたのですが......

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醤油とわさび、薬味だけで蕎麦を食べてみました。

これが、意外といける。蕎麦つゆに比べてちょっとしょっぱいのですが、蕎麦に少しつけるだけで十分食べられる。

「お、意外とヴィーガンできるんじゃないか?」と思い始めました。

ヴィーガンを「楽しむ」

ヴィーガン生活を送るにあたって、長澤さんと、いろいろ決め事をしました。

1. 無理をしない

ダメだと思ったらあきらめる。ストレスをためて体を壊したら元も子もないですし。体調に変化が出たらすぐにやめようと決めました。

2. 毎食ヴィーガン食を撮影して、お互いにシェアする

ヴィーガン生活を送っていることを証明するために、毎食撮影し、長澤さんとシェアすることにしました。

そうすれば、お互いにどうやって工夫しながら食事しているのか、料理法や具材の情報共有ができるからです。

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私の自信作「厚揚げ丼」。うな丼のタレ風味で作ってみました。
Kazuhiko Kuze

3. とにかく楽しむ

食事制限に耐える、ストイックな生活を送るという考え方を捨てて、お互いに楽しみながら1カ月を過ごそう、と決めました。

「これが食べられない。つらい」と考えるのではなく、「こういう食べ方があるのか」と、新しい発見をするように心がけたのです。

ヴィーガンやってたら、いろいろなことに気づきました

周囲の反応は、それはそれは冷たいものでした。

「いきなり何やってんだ」「続けるの無理そう」「体壊すんじゃないの」......。

そんな心配をよそに、当人たちはテンション高めでヴィーガン生活をスタートさせました。

懸念されていたタンパク質不足は豆腐や納豆で補う、脂質を十分にとるため普段からナッツを食べ、オリーブオイルやごま油をたっぷり使うなど、食事のルーティンもだんだん確立されていきました。

これが1カ月のヴィーガンメニューです。

結果的に、楽しむことに徹したせいか、ストレスを感じることはほとんどないまま1カ月を過ごせました。

ヴィーガン生活を送っていると、こんな「変化」がありました。

1. 自炊が増えた

自炊する機会が圧倒的に増えました。夜の食事も、外食で済ますことが少なくなり、お腹が極限に減っても、家に帰ってから自分で調理するまで待ちました。

家では、思わぬ「効果」が生まれました。

家では家族の料理とは別に、自分だけのヴィーガン食を作るので、時間の節約のために、子供たちにも調理を手伝ってもらうこともありました。

すると、「これどうやって包丁で切ればいい?」「どれくらい味付けすればいいかな」などと、これまでなかったような会話ができるようになりました。子供たちも、料理のお手伝いができて大満足。今も、子供たちは積極的に料理を手伝ってくれます。

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これも自信作とも言える、小松菜、ニンジン、玉ねぎ、油揚げのチャーハン
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2. 間食をほとんどしなくなった

お菓子はほとんど食べられなくなったので、間食をしなくなりました。ハフポストのオフィスには、お菓子が常備されているので、仕事の合間にちょいちょいお菓子をつまんでいました。

この5年間で体重が激増した一因でもあるので、四六時中お菓子を食べる習慣がなくなったのは、大きな収穫になりました。

3. 食生活を楽しめるようになった

お腹を満たすだけの食事はしなくなりました。大げさでなく、食生活が豊かになりました。手間ひまかけた分、自炊した食事は美味しく感じますし。

また、本来の具材の味を楽しめるようになりました。蕎麦はつゆを付けずに食べるようになりました。蕎麦湯もそのまま飲んだら意外と美味しいですよ。

野菜も、少しだけ塩や醤油をかけるだけで満足でした。

今までの自分の食事が、いかに味付けに左右されていたのかが、よくわかりました。

いいことばかりではなく...

こうやって書くと、いいことばかりのように思えますが、そうは問屋がおろしません。当然、苦労したこと、思い通りにいかなかったこともあります。

1. 外食はとにかく大変

肉や魚が入っていないのを確かめるだけでなく、調味料に動物性由来の物が入っていないか確かめるのは本当に大変でした。

特に困難を極めたのは「かつおだし」。和食の基本ですから入っていて当たり前なのですが、コンビニのおにぎりや弁当はかつおだしがかなり使われているんです。こんなに使われているのか...と、改めて驚かされました。

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食品を買う時は、必ず原材料名の表示を見るようになりました。
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2. 栄養のバランスが偏る

当然栄養のバランスが崩れます。特に、動物性タンパク質の不足を、豆腐や納豆といった植物性タンパク質で補えるのかどうか......という点が不安でした。

世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』の著者で、医療と健康の専門家の津川友介さんに聞いてみたところ、「タンパク質の摂取は動物性・植物性どちらでもかまわない」とのことでした。(津川さんのインタビューはこちら

その代わり、毎日納豆を5パックくらい食べないといけないのですが。

3.体重は......そんなに変わらない

ダイエット目的で始めたヴィーガン生活ですが、思ったほど体重が減りませんでした。

ご飯をたくさん食べていたからでしょうか。最後の1週間で3キロくらい急に体重が減ったので驚きましたが、これはおそらく酒をやめたからじゃないか、と思っています。

健康状態は、良くも悪くもなっていない、という印象です。1カ月くらいのヴィーガン生活では、そんなに影響ないのかもしれません。

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ヴィーガンがやめられない!?

最後に、1カ月のヴィーガン生活を振り返って......みたかったのですが......実は......。

まだ、ヴィーガン続けているんです。

1カ月ぶりに肉を食べようと、長澤さんと一緒に焼肉を食べたのですが、

食べられない。

肉の食感を忘れてしまったんです。

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Kazuhiro Sekine
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Kazuhiro Sekine

煮干しでだしをとった味噌汁を飲んでみても、

だしの風味を思い出せない......。

おそらく、体質が変わったとかそんな大げさな話ではなく、慣れの問題だと思うのですが。

かれこれ2週間くらい、ヴィーガン的生活を延長しています。

唯一、食べられたのは、乳製品のヨーグルト。

私にとってのヴィーガン生活は、まさに未知の領域に突入した「アタラシイ時間」でした。

しかし、元の食生活になかなか戻れないのは完全に予想外でした。

肉や魚を食べられる生活に復帰するまで、もう少し時間がかかりそうです。

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ヴィーガン1カ月やってみて、食の「アタラシイ時間」が生まれた。

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