■最大強度カテゴリー5のサイクロン被害に太平洋自然災害リスク保険から保険金支払い
世界銀行グループは、3月13日にサイクロン・パムの直撃を受けた太平洋島嶼国のバヌアツに対して、復興支援の支払いとしては最初となる太平洋自然災害リスク保険パイロット・プログラムからの190万ドルの保険金が支払われた事を発表しました。
「我々は、サイクロン・パムにより深刻な被害を受けたバヌアツの人々の状況を大変憂慮しています。今回支払われた保険金によりバヌアツ政府は、喫緊の復旧・復興活動の資金を確保する事ができます。今後もバヌアツ政府と協力し、優先課題を速やかに特定し、様々な資金メカニズムを通じて援助を提供していきます」と、世界銀行のフランツ・ドリース・グロス局長(東ティモール・パプアニューギニア・太平洋島嶼国担当)は述べています。
世界銀行グループのチームは、サイクロン・パムによる被害の状況を把握するためにバヌアツ入りし、今回の保険金だけでは賄いきれない喫緊の資金ニーズを含め、バヌアツ政府による緊急対応ニーズのアセスメントを実施しています。
これに加え、バヌアツの観光産業の再建のため、世界銀行の専門家チームが3月31日にポートビラに到着し、最大5,950万ドルに上るバヌアツ航空投資プロジェクトのIDA融資について話し合いが行われます。IDA(国際開発協会)は、世界銀行グループの最貧困国向け基金です。
「サイクロン・パムが我が国にもたらした影響は甚大であり、これまで長年かけて進めてきた開発や投資が破壊されてしまいました。復旧・復興に向けた調和のとれた包括的アプローチが早急に求められる中、開発・援助機関と協力して、しっかりと取り組んでいく所存です」と、バヌアツのマキ・シメラム財務大臣は述べました。
最大強度のカテゴリー5に分類されたサイクロン・パムは、バヌアツの83の島の内22の島に多大な被害をもたらし、その被災者数は人口の半分以上に当たる約16万6,000人に上ります。バヌアツの国家災害管理局の当初の推定によると、建物が倒壊し、電力網・通信網が大きく損壊された中で、約6万5,000人が一時的な避難所を必要としています。
太平洋島嶼国の自然災害に対する資金面の脆弱性を軽減する太平洋自然災害リスク保険パイロット・プログラムは、日本政府、世界銀行グループ、太平洋共同体事務局が共同で立ち上げたプログラムです。
バヌアツの保険料の一部は、日本政府からのグラントにより賄われました。このグラントは、2014年に日本政府とのパートナーシップの下で設立された世界銀行グループ東京防災ハブが中心となって進めている、途上国の開発における防災の主流化のためのプログラムを通じて提供されています。
今回の支払いは、2013年1月に太平洋自然災害リスク保険パイロット・プログラムが立ち上げられて以降2回目となります。1回目は、2014年1月にサイクロン・イアンの被害を受けたトンガに対してです。
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