ポーランドを訪問している安倍首相は16日午後(日本時間同日夜)、ワルシャワで、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの東欧4カ国(V4)首脳と会談した。会談後には共同声明を発表し、原発事故の教訓を踏まえて日本が原子力の安全に貢献するとして、原発技術の輸出などで協力を進めることを打ち出した。
V4は東欧4カ国の地域協力体で、東京新聞によると、アジアの首脳がV4と会合を持ったのは今回が初めて。朝日新聞では次のように報じている。
この地域ではロシアへの依存度が高いエネルギー構造の転換が進む。国際原子力機関(IAEA)は、東欧の原発の発電能力を現在の4900万キロワットが2030年に1.6~2倍になると予測。今後20年足らずで30~50基の原発が新設される計算で、アジアや中東と並ぶ原発建設ラッシュが見込まれる。
(朝日新聞デジタル「中欧4カ国と協議、原発協力 安倍首相、輸出後押し」より。 2013/6/17)
これまで外相レベルにとどまっていた「V4+日本」の枠組みを首相レベルにまで引き上げたのは、こうした原発の需要がある地域に対してトップセールスで売り込みたい考えがあるのだ。
しかし、日本国内では原発政策が定まっていない中、海外への原発輸出を推し進めることについて、世論の反発もある。6月の朝日新聞社の世論調査では、日本経済の成長のために原発を積極的に利用する安倍首相の方針について59%が「反対」と答えている。来月行われる参院選の結果に影響を与えかねないこの安倍首相の戦略は、国民の支持を得ることができるのか。今後も国内で議論が必要なテーマだろう。
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