東京都知事選に立候補を表明していた元日弁連会長の宇都宮健児氏(69)が7月13日夜、立候補を取りやめることを発表した。
12日に野党統一候補に決まったジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)に協力する意向を示したことで、都知事選は保守系2人と鳥越氏の主要3氏の争いになるとみられる。
13日夜に記者会見した宇都宮氏は、立候補辞退の理由について「保守が分裂した今回は都政を変えるチャンス。そういう状況を生かすためには、私が出馬を取り下げることで影響を与えうるんじゃないかと考えている」と述べた。
また、12日夜の鳥越氏との会談で、宇都宮氏の政策集を渡したところ、築地市場の移転中断や外環道建設の見直し、アメリカ軍横田基地のオスプレイ配備反対などの政策を、鳥越氏が基本的に受け入れると表明したことを明らかにした。その上で「『参院選の結果を受けて、日本の将来に大変な危機感を覚えた』という思いは共感するが、都政についてはこれから考えるということだった。準備不足は否めないので、しっかり対応を考えて頂きたい」「都知事選ではまだ(野党4党の)政策協定がなされていない。早急に作るべきだ」と要望した。
一方で「(12日の時点で)私自身は戦いたいという気持ちという気持ちが強かったが、いろんな方が選対には参加していて、その中で軋轢が生じてきている。運動が分裂しかねないし、選対メンバーが誹謗中傷も受けている」と、選対内で野党統一しないことへの不満が運動の分裂につながりかねなかったと打ち明け、野党4党の候補者決定プロセスに「密室で決まっている」と不満を示した。
宇都宮氏は愛媛県出身。日本弁護士連合会の消費者問題対策委員長や会長(2010~2012年)を歴任した。脱原発などを訴えて過去2回の都知事選では共産党などから支援を受け、2012年は約97万票、2014年は約98万票を得ている。今回も保育所の待機児童ゼロや最低賃金引き上げなどを公約に立候補を表明していた。
しかし、鳥越氏が12日に立候補を表明したことを受け、民進・共産・生活・社民の野党4党は12日、野党統一候補として鳥越氏を支援することで一致した。宇都宮氏は今回、政党の支援を受けられない見込みとなった。
13日午後に日本記者クラブで、他の3人の立候補予定者とともに、日本記者クラブで共同記者会見に臨んだ宇都宮氏は「野党4党の政策協定があるのかも不透明だ。都知事選は政策論争であるべきだ」と述べ、立候補する意欲を見せていた。
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