アフガニスタンのカルザイ大統領がアメリカ軍の駐留を2015年以降も認める協定への署名を拒否していることから、 アメリカ政権は2月25日、年末までに軍を完全撤退させることもありうるとして国防総省に撤退計画の作成を指示した。完全撤退の可能性を明らかにすることで、アフガン政府に協定締結を促す狙いがある。
アメリカのオバマ大統領は25日、カルザイ大統領と電話で会談し、この内容を直接伝えたという。ホワイトハウスが明らかにした。MSN産経ニュースは次の通り伝えた。
オバマ氏は協定が締結されアフガン政府が信頼できるパートナーになった場合にのみ、来年以降の米軍駐留が両国の国益に合致すると指摘。4月のアフガン大統領選後にあたる今年後半に協定締結が実現する可能性を指摘しながらも、「協定が締結されない期間が長くなればなるほど、来年以降の米軍の活動は小さくなる」と述べた。
(中略)
米国はすでに今年末までの米軍戦闘部隊の撤退を決めているが、協定締結を前提として、アフガン軍の訓練などを目的とする1万2000~8000人規模の米軍駐留を検討している。しかしカルザイ氏は協定への署名を拒否しており、昨年末に見込まれていた協定締結がずれ込んでいる。
(MSN産経ニュース「オバマ氏がアフガン完全撤退に言及 カルザイ氏と電話会談」より 2014/02/26 08:57)
アメリカは、イラクとの間でもアメリカ軍の駐留継続を定めた安全保障協定を締結することができず、2011年末に軍を撤退させたが、その後、現地の治安が急に悪くなった例がある。アフガニスタンでも、もしアメリカ軍が完全撤退すれば同様に治安が悪化するという懸念が出ている。
アフガニスタン大統領府によりますと、カルザイ大統領はオバマ大統領との電話会談で、反政府武装勢力タリバンとの和平交渉の実現こそが重要だと指摘し、交渉が開始されなければ協定の締結には応じられないという考えを伝えたということです。
(NHKニュース「米 アフガニスタン完全撤退計画作成へ」より 2014/02/26 08:12)
アフガニスタンの隣国パキスタンのある政府高官は匿名を条件に、アメリカが全面撤退すればアフガン軍部隊の3割が離反し、内戦が起きるとの懸念を示したと、CNNが伝えている。また、アフガニスタンでは4月に大統領選が予定されており、その結果もアメリカとの関係に影響を与えることは必至のようだ。
カルザイ大統領は署名を渋っているが、大統領選の有力候補とされるアブドラ・アブドラ元外相は「アフガンには今後も長年にわたり国際社会の経済的、軍事的支援が必要になる」として、署名の意向を示している。カルザイ大統領自身は憲法の規定により、大統領選に出馬することができない。
(CNN.co.jp「米政権、アフガン全面撤退を想定した計画策定を開始」より 2014/02/26 09:50)
■ハフポストUS版ユーザーの意見
ハフポストUS版に掲載されたこの記事「Obama Tells Pentagon To Plan For Afghanistan Withdrawal In Warning To Karzai」には、いくつかのコメントが寄せられている。「実際に完全撤退することはない」との意見もあるが、多くが「12年にもわたる戦争から身を引くときだ」などとアメリカ軍の撤退に好意的なものだ。
オバマ(大統領)は少なくとも1万人の部隊を残したいと思っており、アメリカ軍が実際に撤退するようには思えません。アメリカがイラクでも行ってきた手順でもあり、驚くべきではないでしょう。
オサマ・ビンラディン(容疑者)が暗殺された後、アメリカ軍は撤退するべきだった。安全保障協定の締結に関わらず、アメリカ軍を(アフガニスタンに)残すことは、道義的にも戦略的にも受け入れがたい。
関連記事