日本人はもっと国連の平和構築・開発の分野で活躍を――。国連で働く日本人職員の数を増やそうという外務省開催のセミナーのためこのほど来日した国連フィールド支援局フィールド人事部のアンソニー・ダンカー人事担当次長(48)が都内でハフポスト日本版のインタビューに応じ、「日本人職員が増えれば多様性が確保され、国連の強さにつながります」と強調した。
国連によると、日本が国連に拠出する分担金は2014年は全体の約10%でアメリカに次いで2番目の規模だった。しかし、国連の本部と各機関で働いている日本人は790人で全体の2.5%程度にとどまっており、日本からの職員を増やすべきだとの声もある。
ダンカー氏はカナダ出身。大学卒業後に国連に入り、旧ユーゴスラビアの平和維持活動(PKO)や国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)などを経て、2014年から現職。フィールド支援局は、フィールド(途上国や平和維持活動の現場)で、PKOと特別政治ミッションを後方から支えている。
国連フィールド支援局のアンソニー・ダンカー人事担当次長
――セミナーでは主にどんなことを話したんですか。
主に応募する際の「傾向と対策」についてです。募集広告の読み取り方や履歴書の書き方、面接の受け方のこつなどについて説明しました。30人が参加しました。
――どんな人材を求めているんでしょうか。
基本的に大学院の修士以上を修了し、何年か社会人経験を積んでいる人を求めています。学位は重要ですが、学部卒でも適切な学業資格や専門的な経験があれば採用の対象になります。若くて才能ある日本人が多く応募し、平和構築の分野にもっとたくさんの人が参加することを願っています。
――何をするのか、もう少し詳しく教えてください。
平和維持活動に携わる文民専門家には24の職業群があります。医師、弁護士など法律の専門家、エンジニア。パイロット、経済の専門家、民生分野やジェンダーの専門家などです。兵士や警察官を支えます。現在、世界には130以上のフィールド・オフィスがありま。
――日本人は、まず英語など語学力で応募をためらいがちではないですか。
今回のセミナー参加者は英語の上手な人が多かったですし、日本人の英語力は低くないと思います。それに、平和構築には世界の167カ国から参加していて、英語を母国語としない多くの職員が携わっています。
ただし、赴任地のほとんどが紛争中、あるいは紛争後の勤務地で、家族帯同ができません。そういった覚悟は必要です。チャレンジングな職場です。
――日本人に特に期待する分野は何でしょうか。
日本人は、サプライチェーン(部品供給網)、上下水道、環境分野などすぐれた技能を持っています。日本人職員が増えれば多様性が確保され、国連の組織として強さにつながります。
――ご自身は旧ユーゴスラビアに赴任していました。紛争地でしたが、どんな場所でしたか。
若い時、5年間いました。困難を伴う場所でしたが、何よりも人の助けを必要としていました。チャレンジングで、人生でベストな時期のひとつだったと思います。
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