政府の教育再生実行会議により、大学入試の2次試験の内容が大きく変わりそうだ。素案によれば、一次試験はペーパーテストを実施し習熟度をランク分けするが、2次試験では、面接などを通じて総合的に人物の潜在能力を評価するという。
面接や論文、部活動、ボランティアといった活動歴で受験生の潜在能力をみるなど、「多様で丁寧な選抜による入学者割合の大幅な増加」を強く求めている。
(朝日新聞デジタル「人物本位の選抜促す 入試改革 再生会議近く提言」より 2013/10/11 09:28)
先月行われた会議で、安倍首相は教育改革について以下のようにコメントしていた。
社会構造が大きく変化する中にあって、社会の様々な分野において、主体性、創造性のある多様な人材が必要であることについても認識が共有されたものと思います。このような観点から、大学入学者選抜も、学生の能力や意欲を多面的・総合的に丁寧に評価する方向に転換していく必要があります。
(首相官邸ホームページ「平成25年9月18日 教育再生実行会議 | 平成25年 | 総理の一日 | 総理大臣 |」より 2013/09/18 )
2次試験で、面接や論文だけでなく部活動やボランティアなどの活動も評価されることになる受験生。従来の受験勉強とは違った入試対応が必要となる。現行の受験制度でも、学校によって、一般入試と目指す受験生と推薦やAO入試を狙う受験生では、勉強方法に違いが生じてきているという。
中堅校では、むしろ指定校推薦を狙う生徒のほうが、ほかの試験方法で受験しようとする生徒よりも、1年生の時から勉強時間が長かったのです。指定校推薦を受けるには校内選考を経る必要があり、それには普段から良い成績を取っておかなければなりませんから、よく勉強するようになる
(MSN産経ニュース「【教育動向】推薦目指すほうが勉強する? 進学2~3番手校で≪逆転現象≫ 」より 2013/09/25 15:00)
一番手校では、一般入試の志望者のほうが長く勉強していました。これには、学校側が入学当初からできるだけ推薦などに目を向けさせず、よりレベルの高い大学の一般入試を目指して勉強させようと指導していることも影響している
(MSN産経ニュース「【教育動向】推薦目指すほうが勉強する? 進学2~3番手校で≪逆転現象≫」より 2013/09/25 15:00)
もちろん、主体性や創造性のある人材を育てる教育改革は必要だ。しかし、一方でどのように人物の評価するのかという評価基準にも重要になってくるだろう。今までも「学力以外の視点で大学にふさわしい人物を募集する入試」として、AO入試が導入されてきたが、今回は、学力を測るペーパーテストと2次試験をふまえて合否を決めることになる。今後も、若者の将来を考えた公正な人物評価について、議論を進めていく必要があるだろう。
そもそも、大学進学には個人の能力だけでなく親の経済力が影響しているという懸念もある。実際に、アメリカでは親の所得格差が子供の成績格差に表れているようだ。
アメリカでは昔、大学進学率は肌の色、つまり白人か黒人か?というファクターによって決定される場合が多かったです。しかし近年は人種は関係なく、むしろ親が裕福かどうかで決まってしまう場合が多いのだそうです。
(Market Hack「ウチが貧乏だから大学に行けない 深刻化するアメリカの格差問題」より 2012/02/11 02:26)
人物の育成には、教育現場だけでなく家庭環境も大いに関係しているといえる。主体性や創造性のある人物を育てられる社会環境の整備、子育て支援なども含め包括的に議論されるべきだろう。
※主体性、創造性のある人材を育てるための教育と、大学入試改革のありかたについて、あなたはどう思いますか? ご意見をお聞かせください。
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