つらい現実世界に住むディズニーキャラクターたち

ニューヨークに住む絵コンテアーティスト、ジェフ・ホン氏は、「ヘラクレス」「ムーラン」「ラマになった王様」といったディズニーの有名作品で、アニメーション界でのキャリアをスタートした。

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ニューヨークに住む絵コンテアーティスト、ジェフ・ホン氏は、「ヘラクレス」「ムーラン」「ラマになった王様」といったディズニーの有名作品で、アニメーション界でのキャリアをスタートした。

ホン氏は、ディズニーで働いていた頃から、ディズニーアニメの登場人物がもし実在していたらどうなっていただろうか、と想像するようになっていた。そう、架空の世界ではなく、この現代社会に生きていたら?

同氏のTumblrサイト「Disney Unhappily Ever After(末永く幸せには暮らせなかったディズニーキャラクターたち)」で紹介されている画像には、人気のキャラクターたちが、社会問題や政治的、環境的、経済的な問題に巻き込まれた様子が描かれている。夢のようなファンタジーが現実と出会ったときにどうなるかというテーマだ。

ホン氏は、ハフポストアメリカ版に寄せたメールでこう語ってくれた。「ディズニーのプリンセスたちが、物語とはまったく違う環境に放り込まれたらどうなるのかという思いが、突然浮かびました。そのアイデアをかたちにしはじめたところ、私が常日ごろ気にかけている社会的問題の多くをその中に織り交ぜることができると気がついたのです」

「だからこそ、私の作品が大きな注目を集めたのでしょうし、それと同時に、波紋も呼んだのでしょう。人種差別や動物虐待、ドラッグ問題などに関して議論が起こったことをうれしく思っています」

ホン氏の作品を見ると、「末永く幸せに暮らす」ことの現実社会における意味を、改めて考えさせられることだろう。

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ふしぎの国のアリス」の主人公アリスは、好奇心が旺盛なあまり、見知らぬ町をうろつき回り、ずいぶんやつれてしまったようだ。

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シンデレラはパーティーの花形だった。でもそれは束の間のこと…。

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空を飛べるようになる魔法の羽でさえも、サーカスでの動物虐待という恐怖から「ダンボ」を救うことはできない。

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リトル・マーメイド」のアリエルは海を抜け出したかった。でもその理由は、王子エリックに会いたいからではない。

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ライオン・キング」のシンバが君臨しているのは、動物たちの王国ではなく、動物園のライオンの檻だ。

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「プリンセスと魔法のキス」のヒロイン、ティアナにとっては、カエルになったほうが、人種差別のない居心地の良い生活が送れるのかもしれない(舞台はニューオーリンズのフレンチ・クオーターで、ティアナは、ディズニー史上初のアフリカ系ヒロインだったが、「当時あった人種差別などを描いていない」等のアメリカ黒人社会からの批判もあった)。

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ノートルダムの鐘」に登場するジプシーの踊り子エスメラルダの心配事は、ジプシー狩りをするフロロー判事だけではなさそうだ。

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ポカホンタス」が暮らす村は巨大カジノになった(ネイティブアメリカン居留地の主な産業はカジノという場合が多い)。エアコン完備ではあるが、映画の主題歌「Colors of the Wind」にうたわれた「風の色」はもう存在しない。

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古代中国を舞台にした「ムーラン」のヒロインが国を守るべく戦うべき相手は、いまやフン族ではない。公害だ。

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バンビ」の母ジカも人間に殺された。けれども、部屋にずっと飾られるほうがつらい運命かもしれない。

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フライドチキンを食べる前に、もう一度よく考えよう(画像の鳥は2005年版の「チキン・リトル」の主人公ニワトリ。町を救うために大活躍する)

[Sarah Barness(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]

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