アメリカとイスラエルが、ユネスコ(国連教育科学文化機関)から脱退することになった。パレスチナ問題をめぐってユネスコが「反イスラエル的だ」というのが理由だ。アメリカは、ユネスコの予算分担金の約22%を占める最大国で、脱退は大きな打撃となりそうだ。
アメリカ国務省は10月12日、2018年12月31日付けでユネスコを脱退して、それ以降はオブザーバー参加するとして、以下のような声明を出した。
国務省はユネスコのイリーナ・ボコワ事務総長に、ユネスコの脱退と常設オブザーバーへの就任を求めるアメリカの決定を通知した。
この決定は軽々しく決めたものではなく、ユネスコの停滞、組織の根本的な改革の必要性、反イスラエルの偏見を継続していることなどへの、アメリカの懸念を示したものだ。
また、ロイター通信によるとイスラエルのネタニヤフ首相も12日、ユネスコから脱退する意向を表明した。アメリカの発表から数時間後で、ユネスコの姿勢が反イスラエル的との脱退理由も同じだ。ネタニヤフ首相は声明で、アメリカの脱退決断を「勇敢で道徳的」だと称賛した。
NHKニュースによると、ユネスコを巡ってアメリカは、政治的に中立の立場が保たれていないなどとして1984年に脱退し、2003年に復帰。その後、2011年に、ユネスコがパレスチナの正式加盟を認めたことに反発し、オバマ前政権が分担金の拠出を凍結していた。
凍結後のアメリカの滞納額は5億4000万ドル(約600億円)に膨らんでいる。これが、脱退の判断に影響を与えたことをアメリカ・トランプ政権のナウアート報道官も認めているという。
アメリカの脱退表明を受けユネスコのボコバ事務局長は「非常に残念に思う。多国間協調主義にとり損失だ」との声明を出した。