ユネスコ無形文化遺産の「秩父夜祭」を4K映像に! 「スカパー」が記録プロジェクト、クラウドファンディングで支援募る

2016年には全国で33ある「山・鉾・屋台行事」の一つとして、ユネスコ無形文化遺産にも登録された。
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秩父夜祭(秩父市提供)
Asahi

 300年以上の伝統を誇り、日本三大曳山祭りの一つに数えられる「秩父夜祭」(埼玉県秩父市)を高画質の4K映像で記録するプロジェクトに、大手映像メディアの「スカパーJSAT」が挑戦している。豪華絢爛な屋台や山車、冬空を彩る花火でも知られ、今冬も30万人以上の観光客が訪れた祭りだ。約30分の記録映画に編集して「スカパー!」で放送するほか、秩父市にデータを寄贈する計画で、2月28日までクラウドファンディングで支援を募っている。

 秩父夜祭は毎年12月にある秩父神社の例大祭。国の重要無形民俗文化財に指定されており、京都の祇園祭、岐阜・飛驒の高山祭とともに日本三大曳山祭りの一つとされる。2016年には全国で33ある「山・鉾・屋台行事」の一つとして、ユネスコ無形文化遺産にも登録された。

 祭りでは、4基の屋台と2基の山車が早朝から深夜まで市内を巡る。傾斜角約25度の「団子坂」では、重さ約12~20トンもある山車を「ホーリャイ、ホーリャイ」というかけ声とともに引き上げ、クライマックスを迎える。

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秩父夜祭(秩父市提供)
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「お祭りのために1年働いているという人もいるぐらい(笑)。ニュースでは人物に焦点を絞って伝えることが多いが、CS放送らしく、今回は神事のアタマから最後まで、全体をそのまま見せる、他では見られないものにしたい」

 こう説明するのは、今回のプロジェクトをとりまとめる小池秀樹チーフプロデューサーだ。山車や屋台は各地区にばらばらにあるため、撮影には5台のカメラを使用した。祭りのメインの時間帯はほぼカメラを回し続け、延べ約20時間分の映像が撮れたという。編集するとき、神事の説明やインタビューは導入部分など必要最小限に絞り、祭りそのものを見せることにこだわった。

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秩父夜祭=スカパーJSAT撮影
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 33もある「山・鉾・屋台行事」の中から秩父夜祭を選んだのは、小池氏が秩父出身で、地元の人に喜んでもらえるものを作りたいとの思いがあったからだったという。また、スカパーが先駆的に取り組んできた4K映像は現在主流のフルハイビジョンよりも夜の映像を鮮明に撮れるため、その長所を生かせることも理由の一つだった。

 今回のプロジェクトは、スカパーが朝日新聞社と共同で始めたクラウドファンディングサービス「KOKOLOCK(ココロック)」の第1号案件。支援者には、金額に応じてエンドクレジットにプロデューサーとして名前を入れたり、番組を収録したブルーレイディスクを送ったりする。今回をモデルケースにして、残る32の「山・鉾・屋台行事」についても4K映像で記録に残していくことを考えているという。

 プロジェクトの詳細は、https://a-port.asahi.com/projects/chichibu_yomatsuri4k/

(伊勢剛)