ウクライナ東部、急速に戦闘激化 トランプ大統領はあいまいな態度に終始

ウクライナ東部の紛争が急速に激化している。
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Verkhovna Rada deputy, a veteran of the ATO, Semen Semenchenko. Veterans ATO, participants trade embargo to the unrecognized breakaway republics of LPR and DPR at a railway checkpoint in the city of Bakhmut (Donetsk region, Ukraine), on 13 February 2017. (Photo by Pavlo Pakhomenko/NurPhoto via Getty Images)
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ウクライナ東部の紛争が急速に激化している。この数週間、親ロシア派の反政府軍と戦闘や爆撃で数十人が死亡した。また、ウクライナ政府は 2月15日に声明を発表し、ロシアがウクライナのインフラを標的とする新たなサイバー攻撃を開始したと批判した。

ロシアの支援を受けた親ロシア派との戦闘激化を受け、ウクライナ政府はロシアの関与が強まるのではと懸念し、ドナルド・トランプ大統領政権下でアメリカからの支援は期待できるのかという疑問が高まっている。

アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使は2日、戦闘の責任はロシアにあると非難し、アメリカ政府は16日、ロシアにウクライナの停戦合意を遵守するよう呼びかけた。しかし、トランプ氏とロシアのウラジミール・プーチン大統領との良好な関係が、ウクライナの人々にとって不安材料であることに変わりはない。

FOXニュースの司会者ビル・オライリー氏は6日、ウクライナの戦闘激化をロシアの挑発だと受け取ったかと、トランプ氏に尋ねた。トランプ氏とプーチン氏が1月28日に電話会談してから、24時間も経たないうちに戦闘が激化したからだ。

トランプ氏はあいまいな受け答えに終始した。

「いや、そうは思わなかった。状況をよく把握していないからだ。親ロシア派の軍ということだが、彼らが制御不能なのかどうか、まだわからない。これから探っていく。驚くことになるだろう。だが、いずれ分かることだ」と、トランプ氏は答えた。

一方のロシアは、ウクライナ、そしてクリミアの領土問題で強硬姿勢を貫いている。2014年、ロシアはクリミアに侵攻し、自国領土に編入した。アメリカのショーン・スパイサー大統領報道官は14日、「ロシアがウクライナにクリミア半島を返還するよう期待している」と発言したが、ロシア側は全く取り合わなかった。ロシア外務省のザハロワ報道官は15日の記者会見で、「我々は自国領土を返還しない。クリミアはロシア領土だ」と述べ、クリミア返還についてロシアが協議を行うことはないと語った。

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2月10日、政府軍の統治下にあるアウディーイウカ近郊の前哨地に集まるウクライナの兵士たち。XXSTRINGERXX XXXXX / REUTERS

ウクライナ東部の戦闘激化に関しても、ロシア政府はあらゆる批判を受け入れようとしない。ロシア政府は、戦闘が激化したのは1月下旬にウクライナ軍が進軍したためだと主張しているが、ウクライナ政府は、今回の武力衝突はロシアが計画したもので、親ロシア派に燃料や武器弾薬を供給していると非難している。

戦闘はドネツク州のアウディーイウカやマリウポリといった都市にも拡大し、民間人が甚大な被害を受けている。アウディーイウカでは2月初旬、住民数百人が家屋を破壊され、市外へ避難した。国連難民機関(UNHCR)によると、親ロシア派に占拠された東部地域ではすくなくとも20の村落が停電状態に陥っており、住民たちは過酷な寒さの中、電気なしで耐えなければならなくなっているという。

欧州安全保障協力機構(OSCE)は15日、両陣営が2月20日を期限として停戦ラインから重火器を撤去することに合意したと発表した。 これを受け、一部の人々は戦闘の沈静化を期待している。

しかしこの合意をもってしても、ウクライナ東部の紛争はアメリカとロシアにとって、今後起こりうる米ロ間の緊張緩和を妨げる阻害要因となるだろう。トランプ政権の高官はウクライナ紛争へのロシアの関与を声高に非難した。ウクライナは、米ロ関係を改善するというトランプ大統領の公約の行方に、大きな関心を寄せることになるだろう。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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