ロシアは10月10日、ウクライナ全土の都市をミサイル攻撃した。首都キーウではサムスン電子のウクライナ支社が入る高層ビル「101タワー」の近くに着弾したとみられる。ロシアのニュースサイト「Gazeta.Ru 」は公式Twitterに、爆風に包まれる101タワーの動画を公開している。
現地紙キーウ・ポストによると、首都キーウは少なくとも6発のミサイルに襲われた。このほかドニプロ、ザポリージャ、クリヴィー・リフ、オデーサ、イヴァノ・フランコフスク、フメリニツキー、テルノーピリ、リヴィウ、ジトーミルといった地方都市も攻撃を受けたという。
■クリミア大橋爆発への報復攻撃の可能性
今回の攻撃は、ウクライナへの報復だった可能性がある。
8日にロシアが2014年に一方的に「併合」したクリミア半島とロシア本土を結ぶ唯一の橋「クリミア大橋」が爆発。これに関してプーチン大統領は9日、「ロシア連邦の重要な民間インフラを破壊することを目的としたテロ行為だ。ウクライナの特殊機関によって命令・立案・実行された」と述べていた。
■「75発のミサイルが発射され、そのうち41発を撃墜」と最高司令官
インタファクス・ウクライナ通信によると、ウクライナ軍最高司令官のヴァレリー・ザルジニー氏は以下のようにSNSに投稿したという。
「ロシア連邦のテロリスト国家は、無人攻撃機を使って、ウクライナの領土に大規模なミサイル攻撃と空爆をしています。午前中、すでに75発のミサイルを発射。そのうちの41発は、我が国の防空部隊によって無力化されました。国軍は市民を守るためにできる限りのことをしていますが、敵の攻撃は続きます。すべての人に避難所に逃げることを強く勧めます!」
【UPDATE】サムソン電子の社員は全員無事。プーチン大統領は報復攻撃だと認める
サムソン電子・ウクライナ支社のAndrii Skiraさんは、自身のFacebookに同社が入る101タワーがロシアの攻撃で損傷を受けたことを明らかにした。その上で「サムスンの従業員は全員オフィスから離れた。私たちは無事です!」と報告している。
101タワーにはドイツ大使館のビザ関連の事務所があったが、ドイツ外務省の公式Twitterによるとウクライナ侵攻が開始してから使われておらず、大使館職員に被害はなかったという。
また、ロシアのプーチン大統領は10日、ウクライナ各都市への攻撃がクリミア大橋爆発への報復と認めた。
国営タス通信によるとプーチン大統領は「ロシアに対するテロ攻撃の試みを続ければ、厳しく対応する」として、「陸海空の長距離精密兵器によって、ウクライナのエネルギー施設・軍事司令部・通信施設に大規模な攻撃をした」と述べたという。(2022/10/10 22:34更新)
【UPDATE2】一連の攻撃の死者は14人に
ウクライナ・プラウダによると、同国内務相のデニス・モナスティルスキー氏は10月10日に行われたウクライナ各地へのロシアへの攻撃で14人が死亡したことを明らかにした。
「12の異なる州に攻撃がありました。現在、合計74件の攻撃が記録されており、悲しいことに14人の死亡が確認されています。さらに97人が負傷しました」(2022/10/11 09:15更新)