[ドネツク/スラビャンスク(ウクライナ) 12日 ロイター] - ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州で11日、同地域の自治権拡大の是非を問う住民投票が実施された。ドネツク州で実施された住民投票では、親ロシア派の選挙管理委員会代表が、89%が同地域の自治権拡大に賛成票を投じたと明らかにした。
この選管代表はまた、5月25日に予定されているウクライナ大統領選について、ドネツク州では実施されないことになると語った。
ルガンスク州の親ロシア派は、反対票は5%だったとしている。
両州とも賛成多数で承認される公算が大きいが、承認はウクライナからの独立を意味するのか、あるいはロシアへの編入を意味するのか、様々な見方があり、解釈をめぐって今後混乱が広がる可能性がある。
ある親ロシア派勢力の指導者は投票が締め切られる前に、住民投票の結果を受け、東部ウクライナは独立した国と軍を形成することになると述べた。
一方、別の親ロシア派勢力の指導者は、住民投票によりウクライナ東部地域の立場が変わることはないとし、「ウクライナの一部になることも、ロシアの一部になることも目指さない。われわれが変化を望んでいることを世界に示したいだけだ。この地域の運命をわれわれ自身で決定したい」と語った。
<分かれる解釈>
ドネツク共和国で実施された住民投票の投票用紙には「ドネツク共和国の国家としての自治という行為に賛成するか」との質問が明記されている。住民の間ではこの質問に対する様々な解釈があった。
ある住民は質問に「イエス」と回答したとし、賛成はウクライナ政府からの独立を意味していると主張。別の住民は「イエス」回答は、ウクライナ国内における自治国家の形成を意味していると語った。また、ロシアへの編入もしくは、ロシアによる支援で生活が今よりも良くなることを期待し「イエス」と回答したとする住民もいた。
<国際社会は非難>
親ロシア派は、12日午後までに集計を終えることを目指している。しかし、国際社会やウクライナ政府は結果を認めない見通しだ。
欧米は、ロシアが5月25日のウクライナ大統領選を妨害すればエネルギーや金融サービスなどで一段の制裁を行うと警告している。
欧州連合(EU)は11日、ウクライナ東部の住民投票は違法との立場をあらためて表明。早ければ週明け12日にも制裁を発表する可能性がある。ただ、天然ガスなどを依存するロシアとの関係を悪化させたくないという事情もあり、制裁は緩やかな内容にとどまる見通し。
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