イギリス総選挙(定数650)は6月8日午後10時(日本時間9日午前6時)、投票が締め切られ、開票作業が進んでいる。BBCニュースによると、メイ首相率いる与党・保守党は第1党の座を守ったが、過半数(326)割れが確定した。党内からはメイ首相の進退論が噴出しそうだ。
BBCが9日午前6時(日本時間9日午後2時半)現在で報じた内容によると、保守党は321議席を獲得。未確定の残り10議席をすべて保守党が獲得しても過半数には届かない。
一方、労働党は259議席を獲得。出口調査の結果から推測すると、さらに上積みしそうな勢いだ。ほかの政党は、スコットランド国民党が34、自由民主党12、民主統一党10、その他13。
メイ首相は4月、総選挙を前倒しで実施することを表明した。保守党は改選前でも330議席を有し、単独過半数を超えていたが、EUとの離脱交渉を前に政治的な基盤を盤石にしたいとの狙いから解散・総選挙という「伝家の宝刀」を抜いた。
だが、そんなメイ首相のもくろみは失敗に終わった。当初は保守党の圧勝とみられていたが、高齢者の一部に負担増を強いる福祉政策案をメイ首相が打ち出したことで情勢は一転。有権者から大きな不評を買い、支持率は急落した。メイ首相はたまらず撤回したが、党勢は回復しないまま投開票日を迎えた。
メイ首相の責任を問う声が党内から出るのは確実で、ロイターは「メイ首相は政治的な求心力を失いすぎて、地位を維持できないかもしれない」などと論評している。
イギリスではいずれの政党も過半数を獲得できない状態を、「ハングパーラメント(宙づり議会)」と呼んでいるが、こうした状況になることは極めて異例だ。
保守党は、ほかの政党と組んで連立政権を目指すとみられるが、過半数割れの事態は予想外だっただけに、見通しは不透明だ。