米軍、ツイッターで「個人情報特定」実験か? 氷山の一角との指摘も
シンクタンク「米国科学者連盟」によると、米国特殊作戦軍は昨年、「クオンタム・リープ(大いなる飛躍)」とよばれる8日間の情報実験を行ったという。この実験は、政府と企業から50人の専門家を招聘し、マネーロンダリングのネットワークに関して、ツイッター上の情報と他の情報とを組み合わせ、個人を特定しようというものだったそうだ。
ツイッター側は、この実験について知らされていなかったという。
【実験は終了だが、不安の声も】
フィナンシャル・タイムズ紙によると、この実験で個人情報特定の鍵となったのは、「ソーシャル・バブル」というプログラムだったという。このプログラムは、特殊作戦軍のために開発されたと報じられている。
ただ、米国特殊作戦軍は報道に対し、「ソーシャル・バブル」はもはや存在しないし、開発に携わった人々も任務に従事していないとして、実験の重要性を否定している。
米ニューアメリカ財団オープン・テクノロジー研究所のサーシャ・メインラス所長は、今回明らかになった実験「クオンタム・リープ」は、政府がすすめる情報収集活動の、氷山の一角に過ぎないと推測している。
同氏は「多くの疑問が残されている」と指摘し、「このような情報収集は、どこまで進んでいるのか?どれほどの試みが行われているのか?企業はこのような行為をどこまで認めているのか?そして、集めた情報はどのように使われるのか?」と問題提起した。
【水面下で進む情報収集活動への不安】
元CIA職員のスノーデン氏により、国家安全保障局(NSA)による個人情報収集が暴露され、議論を呼んでいる中で、ツイッターは、政府にいまだ情報を提供していない企業と言われていた。グーグル、フェイスブック、マイクロソフトなど、政府に情報提供したとされる企業のリストのなかには含まれていなかった。
ツイッターは、実験に関して、利用者やフォロワーの名前、投稿の時刻、その内容などの情報は、誰でも照会することができる「公のものだ」と答え、問題はないとしている。
同紙は、もしマネーロンダリングのネットワーク情報をツイッター上の情報から組み立てることができれば、法廷で犯罪証拠として使用することができるだろう、と仮説を立てている。さらに、証拠の裏付けとして、裁判所がツイッターに特定個人名やメールアドレスの提出を強制することを認めることにもつながるとしている。
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