Twitter Japan株式会社は10月31日、広告関係者向けイベント「#FlywithTwitter Tokyo - Plan for the Moment」を開催した。これは、Twitterを広告ツールとして活用している顧客を対象に開いているもので、登壇者も、同社関係者の他、ツールベンダーに広告クライアント、広告代理店関係者と、「広告媒体としてのTwitter」の実情をよく知る人々に集中していた。
特に今回多かったのは、最大の広告メディアである「テレビ」と連動する場合についての情報である。そこで本記事では、同イベントで示されたいくつかの数字を採り上げ、その背景にある現象について説明していきたい。
Twitterユーザーの半数がテレビを見ながらツイート
アクティブユーザー2.3億人/モバイルからの投稿が75%/一日あたりの投稿5億ツイート
本イベントの中で、同社は何度も「Live、Public、Conversational」というキャッチフレーズを使っていた。これはTwitterの特徴を表すものであり、ここから説明するいくつかの数字も、まさにそこにひも付いている。
Twitterはつぶやきの内容がSNSの中に閉じていない。有力な他のSNS、例えばFacebookやmixiなどの内容はサービス内に閉じた情報になっており、一般的なインターネットからは見えないことが多い。Twitterはそうでない比率が非常に高いことから、結果オープンな会話が多くなる。つぶやきはリアルタイムな内容が多く、身近な端末であるモバイル機器の利用率が当然高い。
前出の3つの数字は、それを示す値といえるが、テレビに関するツイートの情報も、この3つの特性がベースである。
Twitterユーザーの50%が、テレビを見ながらTwitterにアクセスしている
この数字は、Twitter Japanパートナーシップ・ディレクターの牧野友衛氏が示したものだ。同様に牧野氏は「TVに関するオープンな会話の95%はTwitterで行われている」とも話す。これについては、有力な他のSNS、例えばFacebookやmixiなどの内容はサービス内に閉じた情報になっており、外部からは見えないことから、結果オープンな会話が中心であるTwitterの比率が多くなる、という事情もあるだろう。どちらの数字も「テレビとTwitterは親和性が高い」という定評を裏付けるものだ。
この55%のうち、テレビを見ながら「つぶやいて」いる人の割合は33%になる。残りの22%は、ハッシュタグなどを使って番組に関するツイートを見ている人、ということになるだろう。
アメリカではツイート数が8.5%増えると、視聴率が前年比で1%増える。日本では21%がツイートを見てチャンネルを変えた
アメリカで、Twitterがテレビ視聴率調査で知られるニールセンと提携し、アメリカで10月より、テレビの視聴率調査とTwitterを連携し、テレビ番組に関する会話からテレビ番組の消費者に対するリーチを計測する「Nielsen Twitter TV Rating」の提供をしている。これに絡み、今年の3月に行った調査によると、番組に関するツイート量が8.5%増えると、同じ番組の視聴率が、前年比で1%増えたという。8月に220番組を対象に行った調査によると、29%の番組において、ツイートの上昇と視聴率の上昇について、統計的に有意な関係が見つかっている。
同様に日本の場合、マクロミルによる調査では、ツイートを見ることによって27%の人が、テレビをつけるなどの「テレビに関する行動」を起こし、21%が実際にチャンネルを変えている
ツイートが多いほど、番組もCMも見られている
また、ビデオリサーチ・テレビ事業推進部新指標開発担当の長島英樹氏氏は、2つのデータを紹介している。
一つは「ツイートが多い番組ほど長時間見られている」という結果だ。418のバラエティ番組を対象に平均視聴時間を算出し、さらに視聴率の高い・低い、ツイートが多い・少ないでグループ分けすると、視聴率の低い番組の場合、ツイートが多いほど視聴時間も長くなる傾向にあるという。これを長島氏は「ツイートが多いほど、番組に対するコミットメントが強いと解釈できる」と説明する。
それに関連して重要なのは「長時間見られる番組ほどCMも覚えられる」ということだ。番組全体の3分の2を見た人は36.3%の人がCMの内容を覚えていたのに対し、3分の1しか見ていなかった人は27.5%にとどまった。
すなわち、ツイートの量はテレビ番組へのコミットメントの強さにつながり、コミットメントの強さは番組視聴時間に繋がり、結果、そこへ出稿されるCMの価値向上に繋がる。このコミットメントの強さこそが、視聴率に加えて広告効果、番組への興味度を示す指標になる、ということだ。 こうした行為はツイートの量と中身により、テレビに対する優位な影響として分析されている。Twitterはこれを「インプレッション」と呼んでいる。ビデオリサーチも、インプレッション集計による情報提供を、日本で来春にも開始する予定だ。
TV×Twitterで、ネットでの購買意欲は58%上昇し、情報へのエンゲージメント率は27%アップする
Twitterは広告手法として、つぶやかれている内容を分析、それがどのテレビ番組のものであるかを特定し、それに応じて広告を展開する「テレビターゲット広告」の展開を予定している。
これは、Twitterが買収したBluefin Labsのソーシャルテレビ分析技術を用いたもので、全米で放送されているCMを分析管理した上で、ツイート内容に基づいて1000を越えるチャンネルの中から、ユーザーが観ているチャンネルを特定し、そのチャンネルでCMを視聴していたであろうと推定されるTwitterユーザーに対して、プロモツイートを配信する、という仕組みである。
米・Twitter社プロダクトマーケティングマネージャーのJohn Heywood氏は、「テレビとTwitterは友だちのようなもの」と言う。テレビターゲット広告を使った場合、その商品を思い浮かべる確率(想起性)は98%、インターネット上での購入意欲は58%、エンゲージメント率(その情報に対し反応の割合)は27%アップする、という。
すでにアメリカでは始まっているものだが、Heywood氏は「日本でも2014年上半期に導入を予定している」と発表した。
2011年と2013年に「バルス」を1秒もずれずにつぶやいた人は、日本中で1428人いる
最後にちょっとしたトリビアを。
Twitterのつぶやきは、統計可能なデータの形で、いくつかの企業に全文、リアルタイムに提供されている。そこからは現在のユーザーの姿が読み取れるため、いくつもの企業が、企業や商品の反響を分析する「ソーシャルリスニング」サービスを提供している。
Twitterのパートナーとして、そうした分析サービスの提供を行っている、NTTデータ・第三法人事業本部ソーシャルビジネス推進室の佐藤勇一郎氏は、「過去すべてのデータが存在し、解析が行える」として、「天空の城ラピュタ」のテレビ放送が行われるたびに起きる「バルス祭り」の例を挙げている。
「天空の城ラピュタ」のテレビ放送はおおむね2年おきに行われており、Twitterのサービス開始後、初めて放送されたのは2007年のこと。その当時はTwitterの普及率が低かったため、ツイート数は「わずか106件」(佐藤氏)だったという。その後、2009年に3万2140件、2011年に106万6990件と急上昇し、今年は431万4588件にまで増えている。
この集計は「放送日」を単位としたものなので、放送前後の感想などに含まれる「バルス」も含まれる。だが、時間に着目し、2011年と2013年、両方で1秒とずれずにつぶやいた人の数だけを抽出すると、前出のように1428人になる、という。ちなみにこれは、そのタイミングでつぶやいた人の8.8%にあたるという。
さてみなさんは、多いと思うだろうか。少ないと思うだろうか。
(文・写真:西田宗千佳)
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