若者の低い投票率が問題視され始め、投票率向上に向けて様々な取り組みがなされているが、残念ながら結果が出ていない。
一貫してどこの政党・組織からの応援も一切もらわず、完全無所属で活動し、女性やこれからを担う若い世代が活躍する社会の構築を目指す私にとって、彼らの低い投票率はゆゆしき問題である。
大学の授業等で学生に対し「どうしたら投票に行くか?」という質問の答えで多かったものの中にヒントが隠されている。
・投票したいと思う候補者がいない
・特に地方選挙は誰がどんな政策なのかわからない
・政治家が何をしているのかわからないから行かない
・1日だけの指定された時間に投票所に行くという仕組みを変えてほしい
・ネットで投票できるようにしてほしい
テクニカルな問題から、本質的な側面まで若い世代を投票所に自ら足を運ばせるようにするには難題が立ちはだかる。これらの答えを元に低投票率の根深い背景を考える。
私は小・中学校の数年間、米国で過ごしている。現地校では日本の1つの解を求める教育ではなく、多様性や個性を尊重したディベート授業が主であった。むしろ自分の意見がないと非難の対象になる。
日本では政治と宗教はタブー視され、積極的に自分たちの頭で政治について考える機会は非常に少ない。多くの原点の答えは教育にあることが多い。
更に、日本の政治は政局ばかりが報道され、政策がマスコミで語られることは少ない。政治家に転身する前に私は民放テレビ局で討論番組のキャスティングを担当していた。出演する政治家や専門家の内容は若い世代にはピンとこない。無駄に難しく語る癖があるのがこの手の職業だ。こういった報道が政治を遠ざけている一面もある。
更に深刻なのは、地方政治である。市民の生活に一番密着している政治が地方政治であるにも関わらず同じ政治でも国政より関心度はグッと落ち、全体的な低投票率に加え、二元代表制という仕組みであるまじき政党政治や与野党構造が浸透してしまっている。実態を知る私はSNSを毎日活用し、一年を通して駅に立ち、政治の見える化を図っている。毎議会活動報告を自費で発行しながら繰り返し議会報告し、アプローチを続けている。
その中で私独自の取り組みが後援会改革だ。「後援会」といういかにも仰々しく、威厳のあるイメージをガラっと変えた。
後援会を「部活」にしたのだ。そして後援会員を「部員」とし、後援会長は「部長」、補佐的役割を担う部員を「マネージャー」と呼び、駅頭は「朝練」、ポスティングは自分でできることから「自主練」とした。実はこれは大学生たちの案だ。こういったことも若い世代の政治参画の一つである。後援会改革によって新しい層が不安を持たずに気軽に「部活」に「入部」することが可能になった。
地方政治は市長・行政側と議員・議会側がやり取りする仕組みであり、議員が政党の党議拘束に縛られずに市民の生活向上やその街が目指す街づくりに是々非々で寄与することが大前提であり、その実現に重々しい政治家のイメージは新しい層と活動する私にとって不必要である。
まずは政治を身近に感じてもらい、間口を広げることである。そして、その後は自分の1票で街が、そして社会が変わることを肌で感じてもらえれば、投票という行動は持続する。それを実感してもらうにはやはり政治家が「見える」活動をすることが第一歩だ。若くして当選した政治家も一旦当選すると、次の選挙が近づくまで顔を見せず、会派の重鎮議員や親分議員の真似だけを覚える議員が少なくない。
若い候補者が増えているにも関わらず、若い世代の投票率が向上しない理由はここにある可能性もある。若ければ良い、女性であれば良い、容姿が良ければ良い、という問題ではないのだ。選挙の時だけ現れる若手政治家ではせっかく政治に関心を持った有権者やこれからの有権者の落胆度は大きい。期待をして投票した若い政治家が任期の期間、コンスタントにしっかりと発信し、報告義務を果たすことから若い世代の低投票率改善策の糸口が見えてくるのかもしれない。