PRESENTED BY ツムラ

「断り上手になりましょう」産業医が教える、人生100年時代の健康管理術

約8割の女性が抱えていると言われる「隠れ我慢」。人生100年時代に考えたい、自分を大切にする健康管理について、産業医・穂積桜さんに話を聞きました。
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穂積桜(産業医):日本医師会認定産業医、 精神科専門医、漢方専門医、臨床心理士。2001年、札幌医科大学医学部を卒業後、精神科医としてキャリアをスタート。14年より、精神科、内科の臨床経験に基づく知識に加え、人事労務や法律の知識を併せ持つプロフェッショナル産業医として活躍している。
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多くの女性が「隠れ我慢」を抱えているといわれています。

「隠れ我慢」とは、不調を我慢して仕事や家事をしてしまうこと。ツムラが実施した調査では、全国20~50代女性の約8割が「隠れ我慢」を抱えながら日々過ごしていることが分かりました。

産業医の穂積桜さんは、日々の不調や疲れの原因として、睡眠や天候との関連性を挙げます。外部環境から内面の変化まで、自分を大切にする健康管理について聞きました。

 

心と体の相関性にずっと興味があった

──漢方の専門医の資格を取るきっかけになったのは、ご自身の「隠れ我慢」の経験だったそうですね。

はい。私自身、35歳くらいまでは「隠れ我慢な人生」でした。体調が悪くても我慢するのが当たり前だったんです。

でももう十分頑張ったなと思って、30代中盤で1年間、海外旅行に出ました。そこで一度リセットして、自分のやりたいことを見直し、漢方の専門医の資格を取ろうと決めました。

 

──なぜ漢方だったんですか?

もともと、ストレスや不調による心と体の相関性にずっと興味がありました。漢方は体と心を一つに捉え、双方に働きかけ治療するという考えがあり、学生の頃から勉強したいと思っていた分野だったんです。

35歳くらいで医師としても10年ちょっとのキャリアを積んだ後だったので、このタイミングだろうと発起しました。

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自分の体に向き合うきっかけづくりとは?

──産業医として多くの女性に向き合っていると思いますが、「隠れ我慢」をしている方は多いですか?

「隠れ我慢」をしている女性は本当に大勢いらっしゃいますし、我慢をしていることを認識していない人もたくさんいます。生理も「つらくて当たり前」で、対処法がないと思っている人も多いですよね。

また、ヘルスリテラシーの高さは仕事のパフォーマンスの高さにも関連し、ヘルスリテラシーが高い人は積極的に情報を取りに行って解決できるけれども、そういう情報にアクセスできなくて困ったまま不調を抱え続けている人もたくさんいます。

 

──「隠れ我慢」をしてしまう人たちに、共通する特徴などはありますか?

一概には言えないのですが、責任感が強い方は自身の不調を抱えやすい印象ですし、そういう方には自然と仕事が集まってきたりして悪循環に陥ったりしますよね。

女性特有の身体の話だと「恥ずかしくて言えない」「職場でこういう話題を出してはいけない」と思っている人もいます。

あと、#OneMoreChoiceのプロジェクトサイトにもありましたが、自己肯定感が低くて「自分が頑張っていないと認められないんじゃないか」という人もたくさんいて、こうした我慢が重なっていった結果、ストレスがたまって不調につながってしまいます。

一般的にストレスの反応は、3つの分野で起こります。

1つ目は「心の変化」で、イライラしたり気分が落ち込んだりします。

2つ目は「体の変化」で、眠れなかったり、風邪をひきやすくなったり、生理が重くなったり。

3つ目は「行動の変化」です。例えば、過食や飲酒量の増加、あとは衝動買いなども含まれます。

これらの対処の第一歩は「気付くこと」。出やすい疲れの症状は、意外とパターンがあったりします。例えば私は、疲れると左耳が中耳炎ぽくなります。

人によってはそれが便秘や下痢などおなかの調子かもしれないし、肌荒れや吹き出物かもしれないし、月経量が増える人もいます。

体のどこかに違和感が出てくるところがあるはず。自分の体調を観察してみて、そのパターンに気付くと対応しやすくなります。その際に、ご自身が気付いた小さな心身の変化や症状に対しても、漢方は症状を改善できます。

体の変化に気付き、早めにケアしていくことで大きな病気となる前に調整できるケースは多いです。

自分自身のパターンに気付いたら、医師や薬剤師に相談の上、ご自身に合った薬を用意しておくことも日々の「隠れ我慢」への対応につながると思います。

こうやって定期的に自分の手元にある薬を見直すタイミングを設けると、自然と自分の体や心と向き合うきっかけにもなりますよ。

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天気と睡眠も心身の不調の原因に

──産業医やカウンセラーへの相談は、気軽に行ってもいいものでしょうか? なんとなく不調な状態で、まずはどこへ行けばいいのか分からないという人も少なくはなさそうです。

総合診療科や総合内科の先生は患者さんの「表現し難い不調」に慣れていて、不調を拾うのが得意ですし、それが専門分野でもあります。

不調だけどどこの科に行けばいいか分からない場合は、まずそういう領域の先生を受診するのもいいと思います。

あとは漢方のクリニックも不定愁訴の対処に慣れていますし、会社の保健師さんや産業医に「この症状で病院に行ってもいいものか」と、まず病院にかかるべきかどうかの相談をする人もいらっしゃいますよ。

そして実際に相談に行った際には、症状をうまく伝えようとしなくて大丈夫です。自分がどんなことに困っているのか、1日の流れで体調や気持ちの変化を振り返ってメモをしておくといいですよ。

 

──産業医として面談をする際に気を付けている点などはありますか?

産業医面談をしていると多い相談のひとつに、雨の時期の不調があります。片頭痛なども気圧の関係があり、それが心身に響くことも多いです。

ですので、私はまず、雨や台風などの天気が悪い日に具合が悪くなるかを聞きます。天気の変化に伴う心身のつらさは漢方が得意とするところです。

めまいや、むくみがある人の頭痛に用いる漢方薬、虚弱な方で排卵日から生理前にかけての不調が出やすい方に用いる漢方薬など、漢方薬には日常の不調に寄り添う選択肢が多いので、対処法としてよくご紹介しています。

あと、不調の原因が睡眠にある場合も多いですね。面談では、就寝や起床の時間や、入眠や起床の傾向も聞きますね。私が診療している中でいうと、なんとなく不調を訴える方々の7〜8割は、不眠が影響していると感じています。

よく眠れていないと不調の症状が悪化して、それでまた眠れなくなり……という悪循環が起きたりもします。

睡眠から生活をリセットできるように、活動量計などで睡眠状態をモニターしたり、日記のように睡眠記録をつけたりして、一緒に生活の見直しを図ります。

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これがわたしの#OneMoreChoice

「攻めと守りを使い分ける」です。断り上手になりましょう。

今は「人生100年時代」といわれます。70歳まで働くと考えると、けっこうな長距離走になりますよね。20〜30代を走り切るだけじゃなく、長期的にキャリアを構築し働いていくためにも「攻めるとき」と「守るとき」を見極める必要があります。

あるあるだと思うんですが、仕事は責任感が強い人に集まりやすくなります。

そういう人は会社にとっても大事な存在ですが、仕事を受け過ぎてポッキリ折れてしまわないように「断り上手になりましょう」と伝えたいですね。「自分のリソースを出し切らない」戦法が有効なときもありますから。

そういうことを、「元気があるとき」に考えておくのも大切だと思います。疲れてしまってから考えるのでは頭が働きません。

仕事をセーブしたくなったらどんな交渉ができそうか、どういう人に助けてもらえそうか──元気なときほど自分の持っている力を冷静に見つめることができると思うので、考える時間を意図的に設けるといいかもしれませんね。

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取材・文=川口あい 撮影=Shin Ishikawa

 

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