約1カ月前、私は「1カ月間、動物性食品は食べない。ヴィーガンになる」という決断をした。
(ヴィーガン=動物性食品を食べない人のこと。肉、魚を食べないベジタリアンよりも厳しく、卵や乳製品も食べない)
世界には、宗教上の理由やアレルギー、自分の考え方などから様々な理由で"食の制限"がある人がいる。もちろん、そういう人たちは日本にも少なからず存在している。大学の友人にもベジタリアンがいる。
"食の制限"を抱えながら日本で生活していくには、どんな大変さがあるのだろう?
自分自身に問い続けながら、"ヴィーガン"として生活した1カ月間。当事者であるからこそ気づいたこと、感じたことはたくさんあった。その8つを紹介する。
1. 基本的に、外食は大変
家だと、(魚の)かつおだしではなく昆布だしを使ったり、細かいところまで自分でコントロールできる。
ただ、外食ではそのコントロールが効かない。一見、動物性食品が入ってないように見えても、だしがネックになってしまったりする。
ヴィーガンレストランの数も少なくて、行きたくても周りにないことが多い。
私の場合、そばをそのまま食べるのが定番になった。だしにつけなければヴィーガンでもOKなのだ。その方が肉とか魚とかの材料を確認する必要がなく、楽である。
不思議なことに、だんだん味覚が研ぎ澄まされてきたような気がして、何も味をつけなくてもそのままでもおいしいと思うようになった。
そば湯をそのまま飲んでもおいしかった(お店の人は、ざるからそのままそばをすする私を変な目で見ていたかもしれないけど...)。
2. 意外とお菓子も食べられる
ヴィーガンをはじめたばかりの時は、「ああ、◯◯が入っててこれも食べられないんだ...」と思うことがあった。特に、これはいけるだろうと思って手に取ったお菓子が食べられないことが多かった。
しかし、徐々に「これも食べられる!」という考え方に変わってくる。
選べば、和菓子もクッキーも食べられる。
特に我慢をしなくても、ヴィーガンでも食べられるものは意外とあるものだ。
3. 周囲の反応は人それぞれ
「ごめん、私いまヴィーガンで動物性食品食べられないんだよね」
ちょっとだけ勇気を持って、周囲に打ち明けてみる。
「そうなの! じゃあヴィーガンでも食べれるところ一緒に行こうよ」と言ってくれる人もいれば、「ヴィーガンってなに?」と聞いてくる人もいた。
良い反応でも、そうでなくても、きっと私の一言はヴィーガンに関心を持つきっかけになっていたはず。
4. 1回の食事が大切になった
ヴィーガン生活をはじめる前は、食べたいものを食べるだけで、目の前の食事について深く考えていなかった。
だけど、ヴィーガンになってから「これには何が入っているんだろう」「この野菜は◯◯産か〜」と気にするようになった。
ヴィーガンレストランに行くと、規模がそこまで大きくないため、料理している人の顔が見える。
「カレーの上にのった人参を作った人はどんな人なんだろうな...」なんて想像するように。
5. 実はコンビニならローソンが◎
お腹が空いたから、おにぎりでも買おうと思ってセブンイレブンに行ってみる。
焼きおにぎりや昆布のおにぎりであれば「さすがに動物性食品入っていないでしょ」と成分表をチェックすると... かつおぶしが入っている!!!そんなことが多かった。
でも、ご安心を。ローソンであれば、動物性食品が入っていないおにぎりも多い。かつおだしが使われがちな納豆巻きも食べられる。
ローソンはナチュラルローソンも展開しているし、もしかしたら"食の制限"を抱える人たちを意識しているのかもしれない。
6. お金は多少かかってしまう
ヴィーガン生活をするにあたって、やはり多少お金はかかってしまう。
安いファストフードはもちろん食べられないし、ヴィーガンレストランでの食事だって決して安くはない。自分で料理するにしろ、動物性食品が含まれていないものをきちんと選んで買う必要がある。
おにぎりを持ち歩いたりして工夫することはできるが、日本でヴィーガン生活をするには、経済的な余裕も必要なのかもしれない。
7. 乾燥がちょっと気になるような...
確か、ヴィーガンをはじめて1週間くらいたった頃。なんだか頭皮の生え際の乾燥が気になるようになった。
(あくまでも主観であって、ヴィーガンとの関係性があるかの科学的根拠はなし)
やっぱり、たんぱく質が足りないとこうなるのかもしれない。納豆など大豆製品をたくさん食べるようにしたが、あまり改善せず、今でも生え際の乾燥はちょっと気になる。
8. ゆるく続ける方法もあった
海外では、週に1回など、自分のペースでヴィーガン生活をするというライフスタイルもあるようだ。
生産者や食に意識を向けたり、体のデトックスをしたり。「ヴィーガンになるかならないか」の0か100ではなく、そんなふうにゆるく継続する方法も知った。
私も、1カ月のヴィーガン生活が終わったら、マイペースなヴィーガンになるのもありだと思った。
"ヴィーガン"が正しいか正しくないかじゃなくて...
1カ月間、"食の制限"を抱えるマイノリティとして生活してみて、たくさんの気づきを得られた。意外にも、肉や魚を食べたいという気持ちはあまり生まれなかった。
いちばんの気づきは「ヴィーガン(という食生活)に正しいか正しくないかの答えなんてない。だけど、ひとつのライフスタイルとして、もう少し人々の関心や理解が広がってもいいのではないか」ということだ。
やはり日本でヴィーガンとして生きていくのは簡単ではない。日本人の私でさえこんなに大変なのだから、日本語が話せない外国人だったらどれほど大変なのだろうか。
ムスリムやベジタリアンの人たちもいる。彼らの食の「多様性」(ダイバーシティ)を考えると、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて本当にこのままで良いのだろうか?
私は"食の制限"を抱えながらも生きていく人たちが少しでも生きやすい社会を作っていきたい。
まずはこのブログを通して、少しでも"食の多様性"に関心を持ってくれることを信じて。
私は自分の食生活を少し変えてアタラシイ時間を過ごすことで、アタラシイ自分と出会えました。
「アタラシイ時間」を過ごすことは、「アタラシイ自分」と出会えるチャンス。
ハフポスト日本版は5月に5周年を迎えました。この5年間で、日本では「働きかた」や「ライフスタイル」の改革が進みました。
人生を豊かにするため、仕事やそのほかの時間をどう使っていくかーー。ハフポスト日本版は「アタラシイ時間」というシリーズでみなさんと一緒に考えていきたいと思います。「#アタラシイ時間」でみなさんのアイデアも聞かせてください。