2006年7月14日、オーストラリアのシドニーのタロンガ動物園で、霊長類学者ジェーン・グドール博士が記者会見をしていると、1頭のチンパンジーがガラスのスクリーンに飛びかかる。
彼女は専門家だ。
アメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏の異様なふるまいを見るたびに、彼女は、何十年もかけて未開の地で研究をし続けた霊長類のことを思い出すという。
「ドナルド・トランプ氏のふるまいは、いろいろな意味で、オスのチンパンジーや、その示威行為を思わせます」と、グドール博士は『アトランティック』誌に述べた。「ライバルに自分を印象づけるため、群れのヒエラルキー(階層)の上位に昇るのを目指すオスたちは、派手に自分を誇示します。足を踏み鳴らしたり、地面を叩いたり、枝を引きずったり、大きな石を投げたりするのです」
グドール博士はこうも語る。「示威行為が精力的で創作的なものであればあるほど、その雄は早くヒエラルキーの上位に進み、その地位を長く維持できるのです」
これまでに、トランプ氏が枝を引きずったり石を投げたりしたのを見たことはない。まあ、どんなことでも起こりそうではあるが。トランプ氏は身体的な誇示をする代わりに、口先での示威行為にはこだわってきた。ペニスを自慢したり、個人攻撃をしたり、人種差別的、性差別的な侮辱を繰り返している。
BLOOMBERG VIA GETTY IMAGES
トランプ氏は9月26日に、民主党候補ヒラリー・クリントン氏と討論する。グドール博士は『アトランティック』誌に「討論会が始まれば、『マイク』のことを思い出すでしょうね」と語った。マイクとは、彼女が研究していたチンパンジーだ。灯油缶を蹴飛ばして自分を誇示し、ライバルも逃げ出してしまうような大騒ぎを引き起こした。
意外でもないが、ニューヨーク・タイムズによるとトランプ氏はすでに討論会で勝利すると宣言しており、「ヒラリーをどう扱えばいいかわかっている」と語っている。
【参考記事】
トランプ氏のディベート戦略が子供じみたものになるかどうかはわからない。ワシントンポストによると、トランプ氏がスピーチで使う文法は、6年生レベルだという。しかし、トランプ氏の自伝『アート・オブ・ザ・ディール』の共著者トニー・シュヴァルツ氏は、討論会も同じことになるだろうと主張する。
「トランプ氏は、注意力に深刻な問題があります。複雑な情報を飲み込めないのです。こういった討論会は無理でしょう」と、シュヴァルツ氏は『タイム』誌に語った。「トランプ氏は大騒ぎするだけで、討論会に何ももたらすことはありません。6年生レベルの語句を使い、何度も同じ言葉を繰り返し、文を最後まで終わらせることをせず、意味のあることなど何も述べないでしょう」
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ハフポストUS版編注:ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた、嘘ばかりつき、極度に外国人を嫌い、人種差別主義者、ミソジニスト(女性蔑視の人たち)、バーサー(オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち)として知られる人物である。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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