アメリカのドナルド・トランプ大統領は4月21日、AP通信のジュリー・ペース記者とのインタビューで、就任100日目を目前にして公約が実現出来たかどうかなどと尋ねられたが、曖昧な答えに終始した。インタビューでトランプ氏は急に話を打ち切ったり、支離滅裂な話を繰り返している。
AP通信はインタビューのほぼ全文を23日午後に公開した。こちらに全文が掲載されているが、気をつけてほしい。内容が意味不明なのだ。「Donald Trump is unintelligible(ドナルド・トランプは意味不明)」というフレーズがTwitter上でトレンドにもなっていた。1対1のインタビューでトランプ氏が述べたことが16カ所、明らかに文字起こし不能だったことを指している。
以下に、インタビューの中で最も意味不明な部分をいくつか指摘しておこう。
トランプ氏は就任後最初の100日間の公約を「ほぼ達成した」と語った。
4月29日の就任100日目が迫るにつれて、トランプ氏は2016年の大統領選で発表した「100日間行動計画」で掲げられた公約のほとんどが達成できていない。とりわけ目立つのが、トランプ氏が大々的に訴えていた、共和党版の医療保険改革法案が廃案に追い込まれたことだ。さらに、メキシコとの国境沿いに建設を目論む壁の建設予算確保もうまくいっていない。
ウィキリークスが民主党内部のメールでのやり取りの内容をハッキングし、大統領選中に公開したとき、トランプ氏は機会があるごとに選挙集会の場でウィキリークスを持ち上げていた。しかし21日のインタビューで、ジェフ・セッションズ司法長官がウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ容疑者を起訴する意向を示していることについて聞かれると、トランプ大統領の口ぶりは違うものだった。
「ウィキリークスの件は聞いてない。1度も聞いてない」と、トランプ氏はペース記者に語った。「ウィキリークスの情報が上がったとき、私は『ああ、この情報を見てみろよ。こいつは相当な値打ちがあるぞ』と言っただけだ。支持も不支持もない」
トランプ氏は2016年10月、次のように発言している。
2016年10月10日、ドナルド・トランプ候補「特ダネが出てきた。ウィキリークスだ!ウィキリークスは最高だ!」
トランプ氏は大統領選挙人団が「共和党候補には非常に不利」だと語っていた。「非常に民主党寄り」という理由だ。事実と異なる。
ジョージ・W・ブッシュ、ロナルド・レーガン、リチャード・ニクソン元大統領などにそのセリフを言ってほしい。ニューズウィークが2016年に解説した通り、大統領選挙人団は実際には若干共和党寄りの可能性がある。というのは、民主党に票を入れる有権者は大都市に集中する傾向が高いからだ。
民主党支持者は都市部に住む傾向がますます高まり、全米の大都市数カ所に集中してきている。そうでない人の方が若干多いが、比較的地理的にまとまって暮らす傾向がある。このため共和党側が選挙人団獲得に若干有利に働く傾向がある。共和党支持者はより広範囲に散らばって暮らす傾向があるため、選挙人団制度では全体の人口の割には共和党支持者が多く出る可能性がある。
トランプ大統領はNATO(北大西洋条約機構)を大統領選中にこき下ろしたが、NATOが今までどのような役割を果たしたか実際には知らないことを認めた。「NATOが出来た時、テロリズムなんてものは存在しなかった」と事実誤認の発言もしている。
NATO創設は1949年だ。しかし概念としてのテロリズムには何千年もの歴史がある。「テロリズム」という言葉自体の語源は18世紀のフランス革命時、ロベスピエールによる恐怖政治からくる。
民主党のイライジャ・カミングズ下院議員との会談について聞かれると、トランプ氏の発言は「言葉のサラダ(意味が支離滅裂)」と化した。
「ああ、カミングズはこういったんだ。私が史上最高の大統領になると。でも、あのな、それも良いんだが、そうなる可能性もあるんだ。でもカミングズは、私が最高の大統領になると言ったけど、違うことを言っても受け止めたさ。要するに、やることをやればだが、それはそうさ。それから私はカミングズがインタビューを受けるのをテレビで見たが、まるで私と話したことがないみたいだった。信じられないことだが。1週間後インタビューの様子をテレビで見た時、私の執務室には入ったことがないようなそぶりだった。間違いないと分かるよ」
トランプ氏は3月にカミングズ議員と面会したときのことを話していたようだ。トランプ大統領によると、カミングズ民主党議員は、トランプ大統領がアメリカ史上最も偉大な大統領の1人になると語ったらしい。カミングズ議員によると、自分の言ったこととは多少ニュアンスが異なるという。
トランプ大統領はアメリカとメキシコの国境の壁は「それほど高額の費用はかからなそうだ」と主張した。
トランプ大統領自身の壁建設費用の見積もり額は、ほぼ2年前最初に案を出してからコロコロと変わっている。80億ドルという場合もあれば、時として120億ドルだということもある。AP通信とのインタビューで、トランプ氏は「100億ドル程度で実現すると思う」と述べた。しかし、国土安全保障省の内部報告書や専門家の見解によると、実際の費用は200億ドルを上回ると見られている。
話しを急に止めて、AP通信のジュリー・ペイス記者にソフトドリンクを勧める一幕もあった。
何か一言挟むことなく、唐突に言い始めた。
トランプ氏 中国の習近平国家主席との間には、非常に良い関係が出来ている。私が中国を為替操作国呼ばわりしておいて、同時に「ところでさ北朝鮮問題解決に協力して欲しいのだが」と言っても、事は上手く運ばない。だからある程度柔軟にやらないとだめだ。ナンバー1の課題。ナンバー2の課題という風にだ。就任以来そうしてきた。こうするのが一番だ。一般的なやり方とは違うがね。君、コカコーラでも飲むかい?
AP通信: 大丈夫ですよ、お気遣いなく。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。