アメリカの情報機関と捜査当局は、ドナルド・トランプ大統領の陣営幹部や関係者らが大統領選前にロシアの情報当局者と繰り返し接触していたことを確認した。2月14日付のニューヨークタイムズをはじめ、複数のメディアが報じた。
これは、政府高官の公式声明と矛盾する。トランプ氏が就任する直前の1月15日、マイク・ペンス副大統領はCBSの番組『フェイス・ザ・ネーション』で、「トランプ陣営とロシアの情報当局者の間の接触はゼロだ」と繰り返し強調した。
司会者のジョン・ディッカーソン氏は、「トランプ陣営の顧問や関係者が、選挙に介入しようとしていたロシアの情報当局者と接触しましたか?」と、ペンス氏に尋ねた。
「もちろん、そんなことはない」とペンス氏は返答した。
ペンス氏は同日、FOXニュースの番組『フォックス・ニュース・サンデー』の司会者、クリス・ウォーレス氏からも同様の質問を受けたが「もちろん、そんなことはない。トランプ陣営と関係者は、アメリカ国民としか接触していない」とと否定した。
トランプ氏自身も1月11日のNBCニュースで、ロシアとの接触を否定している。
トランプ氏は、大統領選期間中に選挙スタッフがロシアの政府当局者と連絡を取っていたかどうかという質問には、はっきり答えなかった。NBCニュースは、トランプ氏がエレベーターへ近づき部屋を出ようとしたとき、そのことを繰り返しトランプ氏に尋ねた。「それはない」とトランプ氏は答えた。
ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官も2月15日の会見で重ねて否定した。
「その期間について何か変わった、と考える理由はありません」とスパイサー氏は述べた。
スパイサー報道官ははABCのジョナサン・カール記者に、「選挙前にトランプ陣営がロシアと連絡を取った人間は誰もいない」と語った。
しかしCNNなど複数のメディアは15日夜、アメリカの情報機関と捜査当局が、トランプ陣営とロシア政府関係者の通話記録を収集し、選挙前から両者が繰り返し接触していたことが明らかになったと報じた。
今のところ、通信記録の内容は明らかになっておらず、トランプ大統領がロシア政府と共謀して民主党候補のヒラリー・クリントン氏を敗北させるための攻撃をしていたという証拠はない。しかしCNNによると、アメリカの捜査当局は、ロシアの情報部員がトランプ氏と特別に交渉する手段があると触れ回っていた疑惑があるという。しかしこれは単にロシア側が誇張していた可能性もある。
スパイサー報道官もペンス副大統領も、大統領補佐官を辞任したマイケル・フリン氏がトランプ政権発足前からロシア政府と接触していた疑惑を否定していた時点では、情報機関の調査結果を知らされていなかったとも考えられる。
しかし、トランプ大統領は調査結果を知っていた。大統領就任前のトランプ氏とバラク・オバマ前大統領は、ロシアの情報部員とトランプ陣営の関係者が緊密なやりとりをしていたことについて報告を受けていた。
ペンス副大統領は、これまでトランプ政権関係者を不自然な形で擁護する役回りを任されている。ペンス副大統領は報道陣に対し、大統領就任式以前にフリン氏がロシア政府関係者と経済制裁緩和に関する協議をしていなかったと繰り返し主張したが、事実ではなかったことが判明した。
フリン氏は13日夜、ロシアとの事前協議を裏付ける複数の証拠を突きつけられ、辞任した。ペンス副大統領は面目を失い、一連の疑惑に立腹していたと報じられた。辞任を表明したフリン氏はペンス副大統領に正式に謝罪せずに、「記憶力に問題があった自分の責任だ」と弁明した。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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