「様々な側からの暴力に抗議」トランプ大統領のコメントに疑問視の声 共和党内からも「はっきり言え」

トランプ大統領が発言で白人至上主義やネオナチを名指しで批判しなかったことに対し、疑問視する声が上がっている。
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U.S. President Donald Trump reads from a prepared statement as he delivers remarks on the protests in Charlottesville, Virginia, from his golf estate in Bedminster, New Jersey U.S., August 12, 2017. REUTERS/Jonathan Ernst
Jonathan Ernst / Reuters

アメリカ南部・バージニア州のシャーロッツビルで8月12日、白人至上主義者やネオナチの支持者らと反対派の間で激しい衝突が起き、1人が死亡、少なくとも35人が負傷した。

休暇中のドナルド・トランプ大統領は事件に対して、滞在中のニュージャージー州で記者団に向けて声明を発表したほか、自らの公式Twitterでもコメントを発表した。しかし、一連の発言で白人至上主義やネオナチを名指しで批判しなかったことに対し、疑問視する声が上がっている。

トランプ氏は12日、ニュージャージー州で記者団に「様々な側から(on many sides)もたらされる憎悪、偏見、暴力に、可能なかぎり最も強い言葉による抗議を表明する」と語った。アメリカNBCのホワイトハウス担当記者、ハリー・ジャクソン氏が「様々な側から」という言葉の意味をホワイトハウスに確認すると、「大統領はあらゆる原因、あらゆる側からもたらされる憎悪、偏見、暴力に抗議している」との回答があったという。

私がホワイトハウスに大統領の「様々な側から」という言葉の意味を問い合わせたところ、職員から以下のように返答があった。⇒「大統領はあらゆる原因、あらゆる側からもたらされる憎悪、偏見、暴力に抗議している。今日、デモ隊とカウンターデモ隊の間に暴力があった」

また、トランプ氏はTwitterでも数度、事件に関係するツイートを投稿した。自らが選挙中に掲げたキャッチフレーズを用いて「肌の色、信仰、宗教、支持政党を問わず、我々は皆『アメリカンファースト』だ」などとしたものの、日本時間8月13日19時までに、白人至上主義やネオナチという単語は登場していない。

覚えておかねばならない真実:肌の色、信仰、宗教、支持政党を問わず、我々は皆「アメリカンファースト」だ。

ただ、車に轢かれて亡くなった32歳の女性は反レイシズム側のデモ隊にいたと思われることや、集合した白人至上主義者やネオナチの団体がバットやたいまつを持っていたこともあり、トランプ氏の発言に批判が集まった。

「そこには『1つの側』しかいなかった。#シャーロッツビル」(前副大統領のジョー・バイデン氏)

「違います、大統領。これはネオナチによる、人種差別や憎悪を煽り、暴力を引き起こすための挑発的な努力です。それを具体的に言うべきです」(民主党所属の上院議員、バーニー・サンダース氏)

「『白人至上主義者は悪で、間違っている』。ほら、これをコピーして、貼り付けるだけでいいんだ、大統領。我々があなたに望んでいるのはそれだけだ」(俳優のクメイル・ナンジアニ氏)

また、トランプ氏の発言は、支持母体である共和党の議員からも疑問視された。

「大統領、悪に対してはその名前を口にしなければなりません。あそこにいたのは白人至上主義者で、この事件は国内におけるテロリズムです」(共和党所属の上院議員、コーリー・ガードナー氏)

「ナチやKKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)、白人至上主義者に愛国的な要素はない。これはアメリカの目指すものと正反対に位置するものだ。#シャーロッツビル」(共和党所属の上院議員、マルコ・ルビオ氏)

「私たちの心は今日起こった事件の犠牲者と共にあります。白人至上主義は、災厄をもたらすものです。この憎悪とそれによるテロリズムは、対応され、敗北しなければなりません」(共和党所属のポール・ライアン下院議長)

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