トランプ大統領、アフリカ諸国を「汚い便所」と表現。どんな文脈で言ったのか?

過去にはハイチからの移民を「全員エイズ患者」と発言したとの報道も
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ドナルド・トランプ大統領(January 10, 2018)
Carlos Barria / Reuters

アメリカのトランプ大統領が1月11日、アフリカ諸国やカリブ海のハイチなどを「汚い便所のような国」と表現した。ネット上では非難する声が相次いでいる。

ワシントンポストによると、トランプ氏はこの日、移民政策をめぐる超党派上院議員らとの会合に出席。アフリカ諸国やハイチからアメリカに来た在留者を指して、「そんな汚い便所のような国の連中を、なぜ受け入れるのだ」などと述べた。

トランプ氏は、前日に首相と会談したノルウェーからの移民を歓迎する意向を示したほか、アジアからの移民もアメリカ経済を支えると話したという。

CNNは、ホワイトハウスの広報担当者が、トランプ氏の「便所」発言を否定しなかったと伝えた。

このトランプ氏の発言が報じられると、インターネットなどで批判が殺到。ワシントン・ポストの記事には12日正午現在で、8000件以上のコメントが投稿されている。

トランプ氏の「便所」発言、背景は?

問題の「便所」発言は、災害や紛争などでアメリカに逃れてきた人々に、一時的にアメリカへの在留資格を付与する案について議員らが提案をしたときに飛び出した。

アメリカにはこれらの外国人に滞在を許す一時保護資格(TPS)と呼ばれる制度がある。たとえば中央アメリカのエルサルバドルは、2001年の大地震の際にこの措置が適用された。当初は措置の期限が1年半とされていたが、延長が繰り返されてきた。措置が始まった後に、アメリカで生まれたその子どもたちも20万人近くいるという。

措置の対象外となると、元の国に戻らなければならなくなる。親だけが送還され、家族が離ればなれになることも考えられるため、移民の保護を訴える人権活動家らは、措置の終了を反対してきた。

しかしトランプ政権は2018年1月9日、エルサルバドルへの措置を打ち切ると発表。不法移民取り締まり政策の一環一環だった。対象者は、2019年9月9日までに、アメリカから退去をしなくてはいけなくなる。

トランプ氏は2017年12月にも、ハイチに対しTPSを打ち切ると発表。11月にはニカラグアに対する措置打ち切りを発表していた。

今回の超党派議員らとの会合では、一部の議員はハイチやエルサルバドル、アフリカ諸国からきたTPS対象者の人々に、在留資格を付与してはどうかと提案した

しかし、トランプ氏はこの提案に対して、「汚い便所のような国」と一蹴。「我々は、より多くのハイチ人が必要なのか?」などと述べて取り合わなかった。

トランプ氏は2017年12月、TPSでアメリカに来たハイチの出身者について「全てエイズの罹病者」と発言したり、「ナイジェリアからの最近の移民は、決してアフリカの小屋には戻らない」などと述べたりしたと報道されていた