「支持者の暴力行為を扇動した」としてトランプ大統領への弾劾決議案が提出される中、アメリカ・フロリダ州では体に「トランプ」と書かれたマナティが見つかり物議を醸している。
シトラス・カウンティ・クロニクルによると、マナティはフロリダ州北西部シトラス郡のホモサッサ川源流のブルーホールで1月10日に見つかった。
「トランプ」という文字は、マナティの体に付着した藻を削って書かれたと考えられている。
幸いにもマナティに大きな怪我を負った様子はない。
しかしマナティはアメリカの絶滅危惧種保護法などで保護されており、体に文字を書く行為は違法だ。NPO団体・生物多様性センターは今回のような「マナティへの嫌がらせ」には5万ドル(約521万円)の罰金もしくは最大1年の禁固刑が課される可能性があるとしている。
同センターのフロリダ支部ディレクター、ジャクリン・ロペス氏は「マナティは広告看板ではありません。いかなる理由でも、繊細で絶滅の危機に瀕しているこの動物に対し、今回のようなひどい行為は許されません」と強く批判している。
トランプと書かれたマナティについては、すでに連邦政府機関の魚類野生生物局とフロリダ州魚類野生生物保護委員会が調査を始めており、生物多様性センターは犯人特定につながる情報への5000ドル(約52万円)の提供を発表した。
マナティは大きな体でゆっくり泳ぐ穏やかな海洋生物で、海藻を好んで食べる。そのため「海の牛」というニックネームがつけられている。
ロペス氏は、「マナティがこのような冷酷で違法な行為をされたことに、とても心が痛みます」と述べている。
野生生物保護団体「ディフェンダーズ・オブ・ワイルドライフ」のエリザベス・フレミング氏も「このような嫌悪すべき行為は、残酷や非人道的という範疇を超えている。無防備な生き物に政治的なメッセージを書いて危険に晒したことに、怒りを覚えます」と声明で憤りを綴っている。