アメリカのドナルド・トランプ大統領は1月27日、ホワイトハウスでイギリスのテリーザ・メイ首相と会談し、二国間の自由貿易協定交渉を進め、テロリズムとの闘いのため北大西洋条約機構(NATO)を重視することで一致した。
トランプ大統領は1時間に及んだ会談の後記者会見に臨み、「私たちの間に、そして両国の間には素晴らしい日々が待っている」と述べ、メイ首相と良好な関係が築けたことを強調した。
会見でトランプ大統領はイギリスのEU離脱に関して「敬意を表す」と述べ、「EU離脱はイギリスにとってすばらしいものとなる。自分たちのアイデンティティを保ち、自分たちが望む人間を自分たちの国に入れ、誰からも監視されずに自由貿易交渉ができる」と評価した。
メイ首相はテロリズムに対抗するため、イギリスとアメリカが防衛面での連携を深め、ISやイスラム過激主義を打倒するため、これまでトランプ大統領が「時代遅れだ」と批判していたNATOは「集団的自衛権の防波堤であるという認識で一致した」と述べた。
メイ首相はまた、大統領選でトランプ大統領が取った外国政策について釘を差し、ロシアのウラジミール・プーチン大統領とは「関与するが警戒する」関係になるべきだと注意した。またメイ首相は、トランプ大統領が破棄すると明言しているイランとの核開発交渉を、「地域の安全保障のために極めて重要」だと述べた。
■ トランプ大統領、BBC記者の質問に……
トランプ大統領は会見で、自らの言動についてBBCからの厳しい質問を受け、メイ英首相に、「ほらまた、あれについての質問が出た」と言った。
メイ首相に指名されたBBCの政治担当ローラ・クエンスバーグ記者はトランプ大統領に、「あなたの見解を懸念し、あなたが自由主義世界のリーダーになることを懸念する、テレビの前にいる視聴者に向けて何と言いますか?」と尋ねた。
トランプ大統領は、メイ首相の方を向いて「これがあなたの質問の選び方だったのか、ほらまた、あれについての質問が出た」と、冗談めかして言った。
トランプ大統領はまた、大衆紙サンのトム・ニュートン・ダン記者からも、メイ首相の控えめな態度と比較して、トランプ氏の人柄について挑発的な質問を受けた。
「私は人が思っているほど厚かましくはない」と、トランプ大統領は語った。「政策をUターンさせたとずっと非難されているが、私は、自分の見方をほとんど変えていない」
メイ首相はトランプ大統領に取り入ったことに対し、イギリス本国で政治家たちから批判を受けた。トランプ大統領は就任以来、グローバルな自由貿易交渉から撤退し、NATOを批判し、気候変動に関する交渉を拒絶し、中絶に対する資金をカットし、拷問を支持している。トランプ大統領はまた、自分の大統領就任式への参加者の正確な数字について根拠のない発言を繰り返している。
記者会見でメイ首相は、トランプ大統領が2017年後半に、イギリス公式訪問の招待を受け入れたと発表した。
ウィンストン・チャーチル像を挟んで撮影に応じるトランプ大統領とメイ首相
メイ首相とトランプ大統領は、大統領執務室でウィンストン・チャーチル像を挟むかたちで写真撮影した。「チャーチルを背景に撮影できて大変光栄です」と、トランプ大統領は話しかけると、「大統領、ありがとうございます」とメイ首相が応えた。
ウィンストン・チャーチルの小さな像は、ある意味アメリカ大統領が大西洋を挟む米英二国間同盟への決意を表すシンボルとなった。ワシントンポストによると、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代には飾られていたチャーチル像を、バラク・オバマ前大統領は撤去し、トランプ大統領が元に戻した。
メイ首相は26日、ペンシルベニア州で開かれた共和党の会合で演説し、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相とアメリカのロナルド・レーガン元大統領に触れ、アメリカにイギリスとの「特別な関係」を前進させるよう呼びかけた。メイ首相は、両国には協力して世界の指導者になる責任があると述べた。
メイ氏はイギリス空軍の飛行機でアメリカに向かう途中、記者団に、控えめな聖職者の娘として、横柄な資産家でリアリティ番組のTVスターと有効関係を築くのに苦労しないかと尋ねられた。メイ首相は「知りませんか? 正反対同士だって惹かれ合うことがあるのです」と答えた。
トランプ大統領を受け入れるというメイ首相の決断を支持しないEUの指導者もいる。フランスの大統領候補エマニュエル・マクロン氏は27日、「イギリスはアメリカの属国になりつつある」と述べた。
イギリス労働党のエド・ ミリバンド元党首は、自国経済へのアメリカ企業進出を許す「トロイの木馬型」の貿易協定を求めるのは「イギリスをトランプ氏のトランクに閉じ込めている」と批判した。ミリバンド氏は、メイ首相がトランプ大統領と密接に提携するのは「間違いだ」と批判した。
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
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