ドイツのシュピーゲル誌の今週の表紙は、なんとも気が滅入る、ぞっとするものだった。しかし、さほど驚くようなものでもない。
表紙の絵は白人至上主義者たちの秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)の覆面をかぶったドナルド・トランプ大統領を描いたものだ。
この絵は、もちろん、8月12日に発生した、バージニアでの白人至上主義者やネオナチの集会に抗議した女性が殺された事件に関連するものだ。トランプ大統領は、事件発生後に、「双方に責任がある」などと白人至上主義者と抗議者を同一視し、差別主義者を「擁護」したとみられるコメントを発表した。
表紙の絵はこうしたトランプ大統領の態度を風刺したものだ。
この、身も蓋もない絵を書いたのは、アメリカの芸術家エーデル・ロドリゲス氏だ。ハフポストのメール取材に対して、芸術家は「トランプ氏は、クランの覆面を被るに値します」と回答した。
ロドリゲス氏は、トランプ氏が大統領に選出される以前から、彼に対して批判的だった。そして、そのことを証明する絵もある。キューバからの移民であるロドリゲス氏は、彼が独裁者とみなすトランプ氏を大統領に選出することの危険性について、同胞たちに対して警鐘を鳴らす使命があるように感じたという。ロドリゲス氏は、自らの恐れと怒りを紙にぶつけた。
選挙期間中に描かれたとある絵は、いまや奇妙なほど予言的に感じられる。それは大統領候補だったトランプ氏とクリントン氏の議論の様子を描いている。クリントン氏は白いスーツを着用し、トランプ氏は白いフードを被っている。
EDEL RODRIGUEZ
1年前には、このようなイメージは誇大妄想的なこじつけに思われたかもしれない。しかし、今日ではほとんどの人が、彼には先見の明があったと感じている。
ロドリゲス氏は作品を回想し、こう語った。
「私の考えでは、彼は常に人種差別主義者でした。大統領選の真っ最中にそれを示す必要があった。そのために、私は、自分の作品が行き過ぎであったり不公平であると見なされるリスクを冒さなければならないと感じました。私は常に、我々が今のような状況に至るであろうと感じていました。それが私がこれについての絵を1年半にわたって作り続けている理由です」
そして、今週のシュピーゲル誌の表紙を描く際、ロドリゲス氏は躊躇わなかった。
「今の時点で、彼にKKKの覆面を被せて表現することは、解放的な感覚を与えます。逸脱を犯す必要性がないからです」と彼は言った。「彼は、過去のいかなる大統領もしなかったことを成し遂げました。すなわち、白人至上主義者・ナチス・KKKのために立ち上がったのです。それは恥ずべきことで、不愉快なことです。何千人ものアメリカ兵が、ナチズムを打倒するために命を落としたのですよ」
ロドリゲス氏は、8月13日の集会の後、トランプ氏が白人至上主義者とネオナチについての発言を批判しつづけている。TIMEの表紙の絵では、ロドリゲス氏はアメリカ国旗の前でナチ式敬礼のジェスチャーをする男を描いた。
EDEL RODRIGUEZ
2月に行われたハフポストとのインタビューで、ロドリゲス氏は、彼のアートによって他の人々を鼓舞し、たとえそれが不愉快であったり恐ろしいことであっても、正義のために立ち上がるようになってほしい、という希望を述べた。
「私の作品は、恐れている人々を勇気づけます」と彼は言った。「作品を見た人々は、私がしていることを見て、『わあ、あの男は勇気がある。私も勇気を持つべきかもしれない』と思うかもしれません」。
▼TIME誌の表紙を飾ったトランプ氏画像集が開きます▼
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ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。