黄金の便器、ゴッホの代わりにどうぞ。グッゲンハイム美術館がホワイトハウスの要請を断る

使用されている金だけで1億円以上の価値が…。

アメリカのドナルド・トランプ政権がニューヨークのグッゲンハイム美術館に、ホワイトハウス内のリビングに飾る目的でゴッホの作品の借りようと求めたが、美術館は拒否し、代わりに「金の便器」を貸し出すと回答した。ワシントン・ポストが1月25日報じた。

ワシントンポストによると、ホワイトハウスのインテリアコーディネーターが、ホワイトハウスにあるトランプ夫妻のリビングに、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが1888年に描いた油彩画「雪のある風景」を飾ろうと提案したという。

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ゴッホ「雪のある風景」
Guggenheim Museum

ホワイトハウスが博物館から作品を借りること自体は、珍しいことではない。これまでの歴代大統領も、博物館のコレクションから作品を借り、リビングに飾っていた。オバマ前大統領はエドワード・ホッパーなどの現在アート作家の作品を借りている。

しかし今回、グッゲイハイム博物館の主任学芸員のナンシー・スペクター氏はホワイトハウスの要請を拒否した。

スペクター氏は2017年9月、インテリアコーディネーターに、「極めて特殊な場合を除いて、『雪のある風景』を館外に持ち出すことは禁止されている」と伝えた。しかし同作品は、スペインにある別館「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」で展示するため、移送中だったという。

スペクター氏は代替案として、「アメリカ」と名付けられた、マウリツィオ・カテラン氏が制作した18金の便器を貸し出すと申し出た。この作品は、アメリカ人の過剰な富への愛を風刺したもので、使用されている金だけで100万ドル(約1億800万円)以上の価値があると言われている。

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WILLIAM EDWARDS VIA GETTY IMAGES

スペクター氏は、ワシントンポストに対し、金の便器について「極めて価値が高く、やや壊れやすいものですが、私たちは設置から手入れまで、取り扱いについて万全を期してご説明します」と述べた。

ホワイトハウスはスペクター氏に返答していないという。またメディアからの問いあわせにも応じていない。

金の便器を制作したカテラン氏はSNS上などで今回の件について言及していないが、ワシントン・ポストの取材に、「非常に言いづらいことですが」と前置きし、次のように語った。

「私たちが生きる意味とは何か? 死を迎えるまで、すべてが不条理に思えても、その後に理解できることもあります」

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。