アメリカのトランプ大統領が7月19日のニューヨークタイムズのインタビューで、安倍晋三首相夫人の昭恵氏が「ハローも言えない」と発言し、波紋を呼んでいる。アメリカメディアからは「嘘ではないか」とこの発言を疑問視し、理由を分析する報道が相次いでいる。
トランプ氏と昭恵夫人が面会したのは、ドイツで開催されたG20首脳会議に伴って開催された7月7日の夕食会。2人は隣同士に座っていた。トランプ氏はロシアのプーチン大統領と1時間近く話したと報じられている。
ニューヨークタイムズの記者のインタビューに対して、トランプ氏は「私は安倍首相の妻の隣に座っていた。彼は素晴らしい男だし、彼女も素晴らしい女性だが、英語を話さない。ハローも言えないぐらいだ」とした。
そして、昭恵夫人との会話のために日本語の通訳がいたが「いなければ(状況は)さらに厳しかった。しかし私は彼女との夜を楽しんだ。彼女はかわいらしく、素晴らしい夜だった」と付け加えた。
ニューヨークタイムズは、その後、このインタビューでのトランプ氏の発言が真実かどうか「ファクトチェック」を実施。その中では、東京支局のモトコ・リッチ記者による反論として、この発言が真実ではないとの判定を掲載している。
反論の証拠として挙げられているのは、昭恵夫人が3年前に行ったスピーチ。彼女はニューヨークで行われたHIVに関するシンポジウムで15分間のスピーチを英語で行っている。
また、昭恵夫人は聖心女子専門学校の英語科を卒業しており、少なくとも「ハローさえ話せない」とは言えないだろう。
なぜ、トランプ氏はそんな発言をしたのか?
トランプ氏はなぜこのような発言をしたのか?その謎について、アメリカの各メディアは様々な分析を加えている。
ワシントンポストは、外交関係者やメディア関係者らへのインタビューを通じて、昭恵夫人は「歓談は難しいにしても少なくとも儀礼的な会話はできる」という複数のコメントを紹介。「本当の彼女の英語能力については誰も分からなかったが、少なくとも、彼女の英語能力の低さや失言を警戒したというよりも、政治的な意図があったのではないか」と結論づけた。
ニューヨークデイリーニューズは昭恵夫人のスピーチ動画を紹介した上で、「昭恵夫人はトランプ氏と話がしたくなかったのでは」とする作家のコメントを紹介し、見出しでもその可能性があると指摘している。
一方で、ワシントンポストの記者が、「昭恵夫人に英語で話しかけた際に、彼女は理解できなかったようだ」としたツイートを紹介し、本当に話せなかった可能性についても言及している。
また、ロシアゲート疑惑との関連で、トランプ氏がプーチン氏と会合を持つために、昭恵夫人の英語力を「だし」にしたのではと疑う向きもある。
トランプ氏は、正式な首脳会談のほかに、この夕食会を途中で退席してプーチン氏と1時間の会合を持ち、秘密裏に「第2回会合が行われた」として、批判されている。
トランプ氏は昭恵夫人が隣だったという以外にも、インタビューの中で各首脳と夫人の席順を細かく報告。メラニア夫人がプーチン大統領の隣だったので、挨拶をしたと報告している。
ロサンゼルスタイムズは、「トランプ氏は昭恵夫人が英語が話せなかったから、途中退席したと話した。彼女は英語ができるのに」との見出しでこの内容を報じている。
▼TIME誌の表紙を飾ったトランプ氏画像集▼