用心棒に頭が上がらない、美しくない国ニッポン

大国・アメリカに媚びる日本、このままで良いのだろうか
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Getty Images

近々来日するトランプ大統領。日本の主要マスコミでは報道されることがかなり少ない(それ自体現状を物語っていると言えます)のですが、就任時から、というより就任前からトランプ氏の毎日のような暴言や奇行が目立っています。民主主義のイロハも理解しようとしないトランプ氏が国家元首に相応しい人間でないのはもはや誰の目にも明らかです。

一応民主的に選ばれたアメリカの大統領なのだから日本政府をしてそれなりの扱いをするのは理解できます。しかし、日本のトランプ氏に対するご機嫌取りには目を見張るものがあり、ヨーロッパの主要国と好対照をなしています。安倍首相はトランプが当選すると大統領就任前に早速会いに飛んでいき、当時まだ大統領だったオバマ氏や国務省から総スカンを食らいました。ゴルフ場ではひたすらトランプ氏におべっかを使い続け、アメリカのマスコミに揶揄された安倍首相で、今度の来日にもちゃんとゴルフの機会を用意したとのことです。

このような姿勢に対してヨーロッパの首脳は堂々としており、トランプの言動を公に非難し、事あるごとにトランプ政権の体たらくが世界の民主主義を弱体化させるものであると指摘しています。強いものに媚びへつらうばかりの日本は、決して「美しい国」ではないでしょう。

日本のアメリカ追従(隷属?)は何も今に始まった事ではないのですが、このようなことを指摘するとまず返ってくるのが、「アメリカは守ってくれてるのだから、日本は盾つけない」というものです。すなわち、自分の身が守れるヨーロッパ諸国と違って日本にはちゃんとした軍隊がない、それでアメリカが外敵(ロシア?中国?北朝鮮?)から日本を守ってくれているのだから日本はアメリカに従うしか道がない、ということです。多くの日本人がこの考えを疑いようのないものとしているのですが、それは多数の事実誤認があるばかりでなく、非常に危険なものです。

そもそもアメリカが日本を「守ってくれている」かどうかはかなり議論の余地があります。日本に基地があるのはアメリカがそれに利益を見出すからであり、日本に対して何かしら人道的な気持ちがあるからではありません。そして、日本ではあまり知られていないののですが、「ヨーロッパ諸国は日本と違って自分の身が守れる」という認識も、事実誤認も甚だしいのです。ヨーロッパはどこも軍事費がGDPの1−2パーセント台で、絶対額にすると日本より少ない国がほとんどです。もちろん力を合わせれば違うのでしょうがヨーロッパ諸国にはそれがまだまだ出来ない面が多く、陸続きでロシアが攻めてくれば一溜まりもないというのが実情です。即ちヨーロッパも日本と同じようにアメリカの「核の傘」の下で、それでもアメリカに堂々とものを申すのです。米軍が多数の国に基地を設けるのはあくまでアメリカの利益を守るためであり、単純に「守ってくれる」からでないのを理解しているからです。 しかし何よりも危険なのは、その思考が日本の再軍事化を促進する働きがあるということです。「ちゃんとした軍隊があり、自分の身が守れる国だけに発言権がある」という考えは、当然「日本も発言権を得るためには軍隊を強化しなければならない」という考えにつながります。国際政治はこのような単純なものでなく、今の日本には「国難」を連発して票を取るのでなく、より頭を使った国策が求められています。