【50人に聞きました】「平成に置いていきたいものは何?」東京レインボープライドの会場で聞いてみたら…

「女らしくはもういらない」「同性同士で結婚できるようになりたい」「脂肪を置いていきたい」。50人に聞いたら色々な答えがありました。
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東京レインボープライドのメインイベント「プライドフェスティバル」が4月28、29日に東京・代々木公園で開かれました。

25年目となる2019年は、2日間で20万人を超える人が参加。LGBTQ当事者だけでなく、誰もがセクシュアリティや性別、“らしさ”にとらわれないフェスティバルを楽しみました。

この日は、平成から令和へと元号が変わる直前。会場を訪れた人たちに「平成に置いていきたいものや、新しい時代に変わってほしいことは何?」と聞いてみました。 

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パンセクシャルのまつりさん。「誰かと付き合っている方がいい」「女子力が高くて仕事ができる人がいい」という考え方を、平成に置いていきたいそう。

「パートナーがいる人に比べて、シングルの人はネガティブに見られがちだけど、恋愛する・しないの自由があって欲しい。恋愛のステータスや仕事能力で判断されるのではなく、その人がそのままの状態で認められる社会になって欲しいです」
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FTMトランスジェンダーのライフスタイルマガジン『LapH』のブースでお会いした、関根理恵斗さん。関根さんが置いていきたいのはサービス残業です。「『長時間残って働くのが偉い』っていう考え方が昭和から続いていたけれど、新時代には持っていきたくないです。体も家庭も壊してしまう働きかたは、古い時代に置いていきたい」
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台湾では、5月に同性カップルが結婚できるようになります。同性婚の実現を支援してきた弁護士のビクトリアさんが中国語で書いてくれたのは「差別にさよなら!」。748という数字は、台湾の同性婚を明記した法案の番号だそうです。
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LGBTQの情報を発信している、松岡宗嗣さん。活動を通して、社会に色々な人たちが生きているのを目にしてきました。

「情報が広がって多様性が可視化されてきたのに、まだ“ふつう”の人たちしかいないような考えが強いと感じています。そんな“ふつう”を、古い時代に置いていきたい」と話してくれました。
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大学生のななせさんが平成に置いていきたいと思っているのは、こりかたまった家族観。
「家族は『男性と女性と子供』という構成だと思われがちだけど、みんな一緒じゃなくていいと思う。家族のかたちがもっとフレキシブルになって欲しいです」
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筑波大学の越智小夏さんが書いてくれたのは、つい数日前に言われた言葉。「自分でよそって、と言いました。女性だから●●してという考え方、なくなって欲しいです」
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「I want to leave my shyness!(シャイな性格を、置いていきたい!)」と書いてくれたのは、英語を話すLGBTQの人たちを支援する「ストーンウォール・ジャパン」代表のネルソン・イサベルさん。ネルソンさんは4月に代表になったばかり。
ストーンウォール・ジャパンの活動を広げて、もっと多くの人をサポートするためにも、新しい時代にシャイな性格を変えていきたいそうです。
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弁護士の前園進也さんは、男女しか結婚できない法律を置いていきたいそう。「新しい時代には、全ての人が自由に結婚できるようになって欲しい!」
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大学生のさいとうさんは、周りの人からよく「パーマをかけているの?」と聞かれるそうです。
「就活中なんですけれど、『パーマじゃなくて地毛です』と説明しなければいけません。そもそもパーマをしていて何がいけないの、と思う。全員が黒髪・直毛じゃない、もっと多様性があると知って欲しい」
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「企業さんにLGBTの話をしても、中には『ふーん』となって自分ごとに感じていないところもある」と話してくれたのは、LGBTQの就活や転職を支援する「Job Rainbow」代表の星賢人さん。
「それは、LGBTの人と接した実体験やそばにいる実感がないからだと思う。『うちの会社にはLGBTとかいない』とは、令和には言わせません」
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NPO団体「akta」で、HIV予防の啓蒙・啓発活動をする踊子さん。踊子さんが書いてくれたのは「平成に置いていきたいもの」ではなく「令和に持っていきたいもの」。
「昭和感を令和に持っていきたいです。昭和歌謡など、昭和にはいいカルチャーが残っているので、令和にも引き継いでいきたいと思っています」
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田中昭全さんは、同性カップルの結婚実現を求める訴訟「結婚の自由を全ての人に」の原告の一人です。
「LGBTQの人に対してだけではなく、他のアジアの国の人たちに対するヘイトスピーチといった差別も目にしてきました。差別するのは、自分と違う人に無関心だったり不寛容だったりするからじゃないかな。差別は見ている方もしんどい。新時代には、無関心や不寛容がなくなって欲しいです」
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川田 有希さんも「結婚の自由を全ての人に」の原告で、田中さんのパートナー。「同性同士の結婚や夫婦別姓など、政治家の自尊心が障害になって、変わらないものがたくさんある。新時代にはそんな変な自尊心は無くなって欲しいな」
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コンサルティング会社PwCの高橋美咲さんが、カラフルな色使いで書いてくれたのは「自分らしくない自分」。
「人目を気にしてしまって、本当の自分じゃない自分になってしまうことがある。そういうのをやめていきたいです」
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「新時代に忖度文化はいらない」と話してくれたのは、日本司法書士会連合会でブース出店をしていた、司法書士の浅野勇貴さん。
「忖度そのものも良くないと思うけれど、発達障害を抱えている人の中には、忖度という行為自体が苦手でうまくやっていけない人もいる。こんな面倒なことはもういらないな、と思います」
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浅野さんと一緒に、日本司法書士会連合会のブースを出店をしていた司法書士の小手川裕さんは、飲みニケーションいらない、と書いてくれました。
「時間がもったいないでしょう?」
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大学生の田代リオさんが無くしていきたいのは「無意識の特権性」。

「マジョリティに属する人には特権性があって、マイノリティの人に心無い言葉をかけてしまう時があります。
だけど、人は誰でもマジョリティにでも、マイノリティにでもなり得ると思う。LGBTQの文脈だと、ストレートの人がマジョリティでゲイはマイノリティだけれど、男女の文脈だと男性がマジョリティになる。
特権性が悪いというわけじゃないけれど、無意識に持ってしまうところには気をつけたいです」
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大学生のそうたさんが書いてくれたのは「元号」。
「元号のような制度がなくなって欲しいなと思います。同性婚ができなくて困っている人、性別欄を選ばなければいけなくて嫌な思いをしている人がいるのに、変わらないのは家族制のような制度を残したい人がいるからじゃないかな。どうしてそんなにこだわるんだろう、と思います」
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奈良レインボーフェスタ共同代表の定政 輝さんと河崎桃子さんは、LGBTQの子供達がつながれる居場所づくりをしています。
定政さんは元教員。新しい時代には色々なセクシュアリティの人がいるのが普通になって欲しいという願いを込めて、「『ホモ』や『オナベ」という差別用語が、子どもたちの口からなくなって欲しい」と書いてくれました。
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国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル日本」の小堀繭子さんが書いたのは「死刑」。アムネスティでは、人権の観点から、死刑廃止を訴えているそうです。「令和では死刑がなくなって欲しいです」
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撮影プロデューサーをしているジョンさんが新時代に望むのは「I hope we can all find a positive way to use the internet!(みんながインターネットをポジティブに使えるようになること!)」。
「ネットの写真と自分を比べて『あの人かっこいいなあ』とコンプレックスを感じて欲しくない。ニュースも悪いニュースが多いけれど、もっといいニュースが増えて欲しいな」
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株式会社セールスフォース・ドットコムで、社内LGBTQサポートグループ「アウトフォース」のリーダーをしている小川絢也さん。小川さんは、自らの黒歴史を平成に置いていきたいそう。ちなみにどんな黒歴史を…?
「20代の頃にゴーゴーボーイをやっていて、いまだに友達に写真を見せられたりするので、それを置いていきたいです……」
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ふたりで遊びに来ていたかれんさん(左)とまゆこさんは「女らしく」という言葉に、平成で終止符を打ちたいと書いてくれました。
「『髪型が短い』とか『私服が男っぽいね』って言われることがあります。そんなの関係ない、女性でも男性でも変わらないのになって思います」
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JALのブースでお会いした福家さんが平成に置いていきたいのは「既成概念」。新しい時代では「自分らしさと相互尊重」が重視されるようになって欲しいと話してくれました。
JALでは、同性カップルも家族のマイレージ共有プログラムも利用できるようしているそうです。
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TENGA広報の西野さんが無くして欲しいのは「性の偏見」。
「『女性のマスターベーションはハシタナイ』とか『性交渉してこそ一人前』という考え、無くなって欲しいです。個人個人がそれぞれでいいと思う。いろんな性の偏見が無くなって、生きやすい社会になったらいいなと思います」
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松崎さんは大学1年生。午前11時に目覚めてボーッとしていたら、週末が終わっていたということも珍しくないそうです。
もっとアクティブに生きたいと、新時代には脱「怠惰な生活」を目指しています。
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平成時代にRYOTAさんを悩ませたのは「顔面から太る体質」だそう。
「体を大きくするためにたくさん食べたいんだけれど、顔が先に太ってしまうから、なかなかたくさん食べられないんです……」
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チッコーネさんが書いてくれたのは、内輪もめ。「ゲイ業界の内輪もめは平成に置いていきましょう!」
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DJ ARMK(アラマキ)さんの願いは、脱「雨男」すること。
「旅行とか行くと、必ず雨が降るんです。新時代には雨男をやめたい……」
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自分をマイノリティだと感じている、と話してくれた大学生のケイスケさん。マイノリティでない友達と話すときに「見えない壁」を感じてしまうそうです。そんな心の壁を、新時代には無くしていきたい。
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NPO団体「グッド・エイジング・エールズ」代表の松中権さんは「くよくよ」する自分を平成に置いていきたいそう。
「いつも明るくて元気だと言われるんですけれど、たまにくよくよしてしまうんです。新しい時代にはくよくよを無くしていきたい。でも全部なくなると人間らしくないから、ちょこっと残しておきたいかな」
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みっちーさんはパンセクシャル。5年前にパートナーと別れてからずっとシングルですが、そろそろパートナーが欲しいと「独身を平成に置いていく!」と書いてくれました。
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まさのぶさんは、平成にためた脂肪を平成に置いていきたいそうです。
「脂身を食べるのは好きなんですが、自分の脂肪は置いていきたいな」
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インターネットメディア・BuzzFeed Japan編集長の古田大輔さんが無くしていきたいのは憎しみや偏見。
「完全になくすのは難しいと思うんです。だからこそ、自分の中に憎しみや偏見がないか、常にチェックしていきたい。No Hater!」
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東京・国立市に務める甲斐さん(左)と高橋さん(右)が書いてくれたのは「同性愛者に対する差別のある社会を置いていきたい」というメッセージ。
国立市にはアウティングを禁止する「女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」があり、これからパートナーシップ制度についても研究していくそうです。
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カナダ大使館に務めるステファニー・レトルノーさんと竹田さんがそれぞれ書いてくれたのは「さべつ」と「前例・慣例」。
「日本だけじゃなくて、世界中で差別がなくなって欲しいですね」とステファニーさんは話してくれました。
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入倉さん(左)と三浦さんはパートナー同士で、ともにHIVの啓蒙活動をしています。「令和には、HIVを減らしていきたいです!」
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オーストリア出身のシモーネさんは、現在日本の大学院で国際コミュニケーションを勉強中。新時代には「お互いを認め合うようになって欲しい」と話してくれました。
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大学4年生のてつさんは「老いへの恐れ」を無くしていきたいそうです。
最近4年生になり、後輩との間にちょっとした溝を感じてしまったというてつさん。自分もつい最近まで後輩の立場だったのに…とちょっと悲しげな表情をしつつ、年齢を重ねることを怖がらないようにしたい、と話してくれました。
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ライフネット生命の片田さんが置いていきたいのは固定概念。
「時々、自分でも頭が固いなあって思うことがあるんです。夫が転職を考えているんですけれど、男性の方が収入が上でなければいけないという考え方から、自由になりたいなと思っています。家族のかたちは、自分の幸せに合わせたものであればいいんじゃないかな」
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「結婚の自由を全ての人に」のタオルを首にかけてインタビューに答えてくれたGさん。Gさんの心からの願いは日本で、世界で、「多様な家族が認められること」です。
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電通のブースでお会いした濱田さんはいじめや偏見を無くしていきたいと答えてくれました。
「東京レインボープライドのブースは、みんながフラットでハッピーになれる場所。新しい時代では、いじめや偏見を無くし、みんながフラットで人に優しくなる時代になって欲しいです」
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カトリック教徒の冨山裕介さんが無くしていきたいのは、「人々の不調和」。
同じコミュニティの中で、マイノリティの人が周りからあれこれ言われるのを目にしたという冨山さん。そういった不調和がなくなって欲しいと願っています。
ローマ法王が11月に来日する時には、「多様な人を認めて欲しい」というメッセージを伝えたいと話してくれました。
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日本語学校で学ぶ、中国出身のヨウ イチさん(左)とカ ヨウさん。新時代への願いを「中国でも同性婚が合法化されますように!」と書いてくれました。
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「結婚の自由をすべての人に」原告の一人、佐藤 郁夫さんは、令和に自分の全てを持っていきたいそうです。
「楽しいことも苦しいこともありました。その経験があるから今がある。だから全部持っていきたいです!」

(執筆:安田聡子 / 取材協力・写真:古家郷、田代リオ)