こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
決算特別委員会も始まり慌ただしい毎日となっておりますが、今日はまた豊洲新市場についてのお話をば。
豊洲新市場では仮に地下水に汚染が発覚したとしても、その場で地下水を浄化して排水し、また常に地下水位をコントロールできる「地下水管理システム」という世界最先端のシステムが常設されていることは、以前にご紹介をさせていただきました。
参考:ショートケーキの作成途中に乗り込んできて、「イチゴが乗ってないじゃないか!(激怒)」状態な豊洲新市場
しかしながら豊洲新市場への移転に反対、あるいは極めて慎重な立場を取る方々の中にはこのシステムに対して、
「地下水管理システムは、ポンプが詰まって水位を下げられない!(可能性がある)」
「施工会社が実績・技術不足なので、こんなものはうまく機能しない!(恐れがある)」
「試運転なんかじゃない、トラブルがあって本格稼働ができないのだ!(という噂がある)」
と強く主張される方もいらっしゃいます。
その地下水管理システムの本格稼働は当初10月17日となっておりまして、9月中旬からは試運転状態が続いていました。
10月3日からは地下水位も発表されており、この現状を聞き取りしてまとめましたので、論より証拠。客観的な状況をご報告したいと思います。
まずこちらが、都のHPで毎日更新されている直近までの地下水位の経緯です。
そして都の担当者に昨晩確認したところ、地下水管理システムは10月14日(金)から24時間稼働の自動運転に切り替わった=本格稼働がスタートしたそうです。
ちなみにAPとはArakawaPeilの略・荒川基準水面のことで、ざっくり基準点からの水面の高さのことだと思ってください。豊洲新市場では、技術者会議の提言によって地下水を常時AP1.8mで管理することになっています。
(「地下水管理システムに関する説明資料」より。赤線筆者)
では経過が発表されている15日間で、地下水位はどの程度コントロールできたのでしょうか?見づらいので、それぞれの街区の7箇所の観測地点について、別表を作ってまとめてみました。
計測開始地点が「5.0m超」であったのを便宜上5.0mと計算したり、フルスペックで稼働したのが14日からなどの要素があるので、あくまで参考値にはなりますが…5街区~7街区をトータルで平均して、15日間で4.0m→3.5mと50cmの地下水位の低下が認められました。
14日からの3日間を見て「マトモに稼働してない!」という報道も一部であったようですけど、まずトータルで客観的に見れば、少なくとも現時点までは地下水管理システムは順調に機能していると考えてよいのではないでしょうか。
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た だ し 。
15日間で50cmの水位低下ということは、1日あたりざっくり3cm強。24時間運転が起動に乗ってくれば、今後はよりスピードアップしていく可能性もありますが、単純に計算すると…現在の平均AP4.0mがAP1.8mの管理水位に下がるまでに、2ヶ月間強かかる計算になります。
本来の開業日(11月7日)にぜんぜん間に合ってないじゃないかーーっ!!!
これは完全に東京都の落ち度です。環状二号線などの事情があって11月7日に設定されていた開場日ですが、地下水管理システムの引き渡し・稼働日はあまり考慮されておらず、完璧な「見切り発車」であったことが証明されたわけです。
私は現在のところ地下水管理システムのスペック・安全性に懸念をもっているわけではありませんが、「地下水が規定の値まで下がっていなくても、とりあえず市場は開場してしまえ!」という意識で進行していた都の安全意識には、改めて大きな懸念を抱かざる得ません。
こちらも結果論になるかもしれませんが、やはり安全確認のために開場を延期した小池知事の決断は正しかったということになります。
このまま順調にいったとして、水位がAP1.8前後になるのは年明け付近でしょう。
都はこれまでの「安全」に対する姿勢を改めて猛省するとともに、専門家会議の調査を待ちながらしっかりと運用していくことを強く要望したいと思います。
また進捗状況を見ながら、システムに異常が発生などすれば、速やかに確認・お知らせしていきますね。
それでは、また明日。
(2016年10月19日 「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)