PRESENTED BY 東洋ライス

「コメ革命」の序章? 実は解明されていない、お米の全容。最新の研究結果が示唆する可能性とは

私たちの食卓に欠かせないお米。でも、その全容は、いまだに解明されていない? 最新の研究結果や、江戸時代から庶民を襲った謎の病の克服につながるエピソードまで。ベールに包まれた、お米の秘密と、それを解き明かす新たな動きをご紹介。
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Takao Onozato/Aflo via Getty Images

ほかほかの白米、おにぎり、カレーライス、チャーハン、お茶漬け……。お米と聞いて、あなたが思い浮かべるものはなんだろうか?

昔から、私たちの食卓に欠かせないお米。とはいえ、あまりに馴染み深いゆえに、その可能性や価値について深く考えたことがある人は少ないはず。

だが、お米の全容は、いまだに解明されていない? ……そんな意外な可能性を示唆する最新の研究結果が報告された。ベールに包まれる、お米の秘密とは?

お米の新たな成分発見で、何が起きる?

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2022年8月8日の記者発表の様子
HuffPost Japan

鍵を握るのは、東洋ライスの高精度精米技術と、国立遺伝学研究所の解析技術。最先端の技術を組み合わせることで、これまで成し得なかったお米に関する研究が進んでいるという。 

2022年8月8日の記者発表では、「玄米特有の未知の成分候補を5つ発見。その成分や効果効能など、さらなる研究を進めていく」と意気込みを見せた。

というのも、過去にはお米の成分をめぐる、世界的な大発見ともいえるエピソードがあるのだ。 

謎の国民病、原因は “お米の食べ方”にあり?

江戸時代から明治・大正期にかけて、市民を苦しめた病「脚気(かっけ)」。症状は、全身の倦怠感、手足のしびれなどで、悪化すると死に至ることもある。

当時、長らく原因は謎のまま。結核と共に「2大国民病」と呼ばれるほど、深刻な状況にあった。

一体何が原因なのか?

後にわかったのは、お米に含まれる栄養素「ビタミンB1」が決定的な影響を与えていたということ。

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出典:「脚気の発生」(農林水産省)

江戸時代は、庶民の食生活が“玄米食”から、より贅沢とされていた “白米食”へと移行していった時期だ。実は、玄米に含まれるビタミンB1は、精米して白米にすると、多くが失われてしまう。

当時の人々はおかずも少なく、玄米食をやめたことで、深刻なビタミンB1不足を引き起こしていた。それこそが脚気の原因だったのだ。

「ビタミン」第一発見者の功績を逃した日本人

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オリザニン(ビタミンB1)を発見した鈴木梅太郎 出典:「脚気撲滅への挑戦」(農林水産省)

そんなビタミンB1の発見にも、1人の人間のドラマがある。1910年、ついに農学者の鈴木梅太郎が、脚気治療の有効成分として、米ぬかから「オリザニン(=ビタミンB1)」の抽出に成功。

当時、未知の成分であった「ビタミン」を、世界に先駆けて発見したといわれている。

しかし、その鈴木の功績が讃えられることはなかった。現在広く知られている「ビタミン」という名称は、ポーランド人科学者のC・フンクが命名したもの。国際学会への発表が一歩遅れた鈴木は、残念ながら「第一発見者」にはなれなかった。

さらに、当時の医学界では脚気を伝染病とする説が有力視されていた。鈴木の学説が認められるのは、時代を経た後のことだった……。

未知の成分がまだまだ存在する現代。新たな発見は?

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Keiko Iwabuchi via Getty Images

国立遺伝学研究所の櫻井望特任准教授によると、栄養学などの研究が進んだ現代でも、未知の成分はまだまだ存在する。そして、成分の特定や効果効能の研究が待たれている。

今回の玄米の未知の成分候補の発見も、いずれはビタミンB1のように、歴史的な出来事として語り継がれてほしい……そんな期待がふくらむ。

“玄米の栄養価、白米の美味しさ”を両立させる研究

では、お米について、現在の段階で分かっていることはなんだろうか。まずは、玄米を拡大すると次の図のようになる。

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東洋ライス提供

もみの外側を覆う「もみ殻」を取り除いたものが玄米だ。玄米は、胚乳(デンプン層)、胚芽、亜糊粉層やヌカ層が重なり合って形成されている。白米は、食べやすさや味を考え、胚乳(デンプン層)のみを残したものだ。

だが、白米に精製する過程で、ビタミンB1などの栄養素が失われてしまうのは、先に紹介した通り。「日本食品標準成分表2020版(八訂)」によれば、ビタミンB1の含有量(可食部100gあたり、炊飯前)は、玄米の0.41mgに対して、白米は0.08mg。

その他の項目を見ても、精製過程で減少してしまうものがある。

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日本食品標準成分表2020版(八訂)を参考にハフポスト日本版が作成。可食部100gあたり、炊飯前の数値を使用
HuffPost Japan

一方で、「玄米の栄養価と、白米の食べやすさ・美味しさを両立させてほしい」というのが、消費者の心理だ。

この課題の解決策として、お米の表面から、偏りなく均等にヌカを取り除いていく「均圧精米法」が確立。繊細な削り方や、特定の部位だけを残すことが可能になった。

次に必要とされるのが、「どの部分に、どんな栄養素があるのか?」「味わいを損なわないためには、どの部分を残すべきか?」といった精密な研究だろう。その過程で「お米には、既知の栄養成分以外にも、未知の成分が含まれているのでは?」との仮説が立ち、今回の玄米の未知の成分候補の研究・発見に至ったという。

増えるお米のバリエーション。あなたの好みは?

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「米の消費拡大について 令和4年8月」(農林水産省) を参考にハフポスト日本版が作成
HuffPost Japan

実際、近年では、発芽玄米、ロウ層をカットした玄米など、バリエーション豊かなお米を店頭で見かけることが増えた。白米と比較して、カロリーや糖質が少なく、栄養価が高いことを謳った商品が誕生している。

消費者にとっては、選択肢が増えて嬉しい時代だ。あなた好みのお米はどれだろうか?

お米の謎を解き明かす研究は続く

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imagewerks via Getty Images

私たちに身近なお米。その研究は道半ばである…。記者会見では「お米を日常的に食べることによる医療費への影響や、感染症予防への影響も調査中」と語られた。「1日も早くお米の謎を解き明かし、人々の役に立てれば」会見では、そんな熱のこもったコメントも聞かれた。

お米の秘めた力が解き明かされ、その真価が見直される時は近いかもしれない。

 

参考サイト:
農林水産省:「脚気の発生」
https://www.maff.go.jp/j/meiji150/eiyo/01.html

農林水産省:「脚気撲滅への挑戦」
https://www.maff.go.jp/j/meiji150/eiyo/02.html

国立公文書館:公文書に見る発明のチカラー明治期の産業技術と発明家たちー「51. オリザニンの発見(鈴木梅太郎)」
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/hatsumei/contents/51.html

文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

農林水産省:「米の消費拡大について(令和4年8月)」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/attach/pdf/index-101.pdf