日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は、8月23日の退庁時に、みんなの党の柿沢未途議員が離党届を提出したことについて、「柿沢さん中心に、維新のメンバーも追随して、同じ志を持っている人たちがまとまるような、政治家らしい動きをしてほしい」と話した。
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橋下市長は、まず、「渡辺さんが代表を務めているみんなの党と、一緒にブロック単位で組んでいこうという政治家は、極めて少ないと思う」と指摘。みんなの党の現状について、懸念を表した。
みんなの党では、維新を軸とする野党再編をめぐって内紛が続いており、2012年9月には、渡辺喜美代表と橋下徹大阪市長の合流交渉が失敗し、上野宏史、小熊慎司、桜内文城の3人の参院議員が離党し、日本維新の会に移っている。
柿沢氏も、昨年末の衆院選後から、新党結成に向けて日本維新の会や民主党の若手議員との協議を本格化させてきたが、7月の参院選後に開かれた8月5日の両議員総会において、党の政策調査会長代理の職を解かれている。
柿沢氏は、22日に渡辺代表と面会した際に「党から出ていってくれ」と繰り返し言われたと記者会見で述べている。
「政界再編のあるべき姿についても、民主党も維新の会もみんなの党も、大きな器を作り、仲間を作っていくべきだと話した。それが、単体としての存続を考える幹部と、相反することになっていたのかもしれない。」
柿沢の離党を受け、22日記者会見を行った渡辺代表は、「相当、党の方針、私の方針と反する言動があった」とし、党内融和を阻んでいるところを外科的に取り除くと述べた。みんなの党は解党しない・新党にはしない方向性という。江田憲司前幹事長への対応についても、「これから考える」と述べ、江田氏が党方針に従わない場合には、離党を促すこともありえるとみられる。
また、NHKニュースによると、柿沢氏と共に民主党や日本維新の会の議員と会合を行っていた議員に対して、週明け、浅尾幹事長を通じて事情を聴くという。
このような渡辺氏とみんなの党の動きに対し、橋下氏が話した内容は下記のとおり。
渡辺さんが代表を務めているみんなの党と、一緒にブロック単位で組んでいこうという政治家は、極めて少ないと思う。
柿沢さんの動きに僕は大賛成だし、僕がでてしまうと、話がややこしくなるし、これは国会議員の仕事だと思いますから、柿沢さんが中心となって、維新の会・民主党の、若手・中堅がまとまってほしい。
だいたいこういう政治家の決断の話になってくると、先に動いたものが中心になっていくので、柿沢さんがこれからの政界再編の中心になるのではないか。
いろいろな国会議員と話をしてて、結局は政党交付金がもらえなくなるとか、活動資金が乏しくなるとか、政党の看板が外れるとやりにくくなるとか、みんな自分のことを考えて行動をしている中で、柿沢さんの行動こそが、政治家の行動だと思う。
もともと大阪維新の会も、今の松井知事が、当時の区議会議員だったときに自民党を飛び出した。大阪市議団の坂井団長も、自民党の市議会の中からたった一人で飛び出した。そういうところから、今の維新の会が育って、そしてその中心人物・核となるメンバーとなっている。
政治家は国のためにとか言いますが、自分の身分というものも大切にする国会議員も多いものですから、柿沢さんの行動が政界再編の起爆剤になるだろうし、柿沢さんが新しい新党の中心人物になると思っている。
だから、柿沢さんに続いて、維新の若手もどんどんそういう動きを起こしていくべきではないか。維新だとか、みんなだとか、民主だとかの枠にこだわっていたら、世の中良くならない。ここまできたら、2大政党制の原点に立ち返って、自民党に対向する新しい勢力を作るために、国会議員は頑張ってほしい。
渡辺代表と一緒にやりたいと思う国会議員は少ないのではないか。政治というものは、理屈、合理性だけじゃなくて、人間的な好き嫌いが入ってくる。僕の考えでは、渡辺代表と一緒にやっていくという“今の”国会議員は、少ないと思う。
柿沢さんのような人が飛び出して、新しい器を作っていくということに追随する若い国会議員は、特に維新のメンバーには多いと思う。維新という器にこだわることなく、国会議員として国のために、思い切った行動をとってほしい。もともと維新はお金もない、組織もない、看板もない中でやって来た。だから維新という看板にこだわっていないメンバーも多い。
最初に行動を起こした柿沢さんを中心に、新しい政治の動きが怒ることを期待している。
国会議員でもない僕がしゃしゃり出たら、話がおかしくなるので、柿沢さん中心に、維新のメンバーも追随して、今度は民主の若い人たち、同じ志を持っている人たちがまとまるような、政治家らしい動きをしてほしい。
国会が始まるまで、国会議員はそうとう休みがあると思う。2大政党制の一翼を担う政党を作るというのは、政治家冥利に尽きる大仕事なので、がんばってもらいたい。
維新を残すということが目的ではない。維新のメンバーが飛び出しても良い。それぞれの国会議員が判断することだ。
しかし、小さいグループでは意味が無い。だから、ある程度飲み込むということも必要になるだろう。政策の一致、理念の一致も重要だが、国民を2つのグループに分けるということはどだい無理だ。だからのみこむことも必要だ。
しかしそれが、民主党のような飲み込み方だったら失敗してしまう。どこまで飲み込むのかというところが高度な政治判断だと思う。何でもかんでも一致だ一致だと言っていたら、勢力は大きくならない。
自民党にも色々な考え方がいるのに、それをうまく飲み込んで今の自民党の形がある。
だから既得権に左右されないというところに焦点をあてて、その他の考え方にはいろいろな違いがあるかもしれないけれど、軸のところは一致させて、細かいところは飲み込んでゆくという形で、民主党に替わる野党ができることを期待している。
(YouTube「橋下市長 退庁時囲み取材 2013-8-23 フルバージョン」より。 2013/08/23)
柿沢氏離党のニュースに対しては、ハフポスト日本版のユーザーからは、次のような声がでている。
渡辺氏の言う政策がぶれないことは大事ですが、同じ改革を目指している議員に対して、自分が気に食わないから離党をさせるとは、感情論に走りすぎです。
改革する人間が冷静な振る舞いをしなければ、改革阻止勢力に甘く見られます。
日本の再生が大事なのか、みんなの党の生き残りが大事なのか、視野を狭く見ないで大道を行くような心構えがなければ、小競り合いだけの改革論議に終わってしまいます。
これで、渡辺氏では野党勢力の結集はできない事が、証明されてしまったのでは?
みんなの党には、一から十迄渡辺氏と意見が一致する人だけが残り、それ以外は野党勢力の結集に向けて動きだす、良い機会でしょう。
無所属となると、活動の幅というか露出が極端に減るので、なんとか共通の理念・思想の同士を見つけて会派を作って国会での質疑を行って欲しく思います」などの声が上がっている。
渡辺代表の”人間力”にはさすがに疑問符が付くが、各党の若手議員の腰の据わらない政界再編の言動は、その大局観よりも機に乗じての自らの存在感を演出したいとの意図が見え見えで生理的に嫌悪感さえ憶える。まずは、党は違えど民主党の失敗に学び、自らの政治家としての個の資質を研鑽して頂きたい。
野党再編の動きは進むのか。進めたほうが良いのか。あなたの考えをお寄せください。
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