橋下市長「教育委員会制度の改革は、教育の専門家にさせらた駄目」と連続ツイート

橋下徹大阪市長が「教育委員会制度の改革は、教育の専門家にさせらた駄目」とツイートしている。橋下市長は、教育委員会の何を問題としているのか…
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YouTube / nipponishin

橋下徹大阪市長が「教育学部教授などの教育の専門家に教育委員会制度などを論じさせらた全く駄目だ」とTwitterで持論を述べている。現在政府で議論されている教育委員会制度にも関わる内容だ。

橋下市長が上記のツイートをはじめた発端は、朝日新聞が8月22日に掲載した『教委廃止、首長6割が反対 東大准教授調査』という記事だ。東大教育学部の村上祐介准教授が、全国の市区町村長に対して行った教育委員会制度に関するアンケートについて「教育委員会制度を変更する必要はないとする回答が6割近くにのぼった」とまとめた内容になっている。

教育委員会は、各自治体に設置されている機関であるが、“首長からは独立した組織”として位置づけられている。“首長からは独立した組織”であることで、「知事や市町村長が代わっても教育施策にぶれが生じにくいというメリットがある半面、首長主導の教育改革が難しくなることは否めない。教育委員は月数回の定例会議に出席するだけという自治体が多い」とMSN産経ニュースは報じている。そのため、委員の定例会議では、事務方がおぜん立てした内容を承認するだけという形骸化の問題が指摘されているという。

また、いじめや体罰を受けた子が亡くなった事件などを受け、教育委員会の対応が遅い、首長の権限を強めるべきなどとする意見も出ている。大津市の越直美市長は、2011年10月に、大津市立中学2年生の男子生徒が自殺した問題を受け、今年2月に「学校、教委の調査が不十分だった。教委制度は、もっと責任と権限の所在を一致させるべきだ」として、下村博文・文部科学相に教育委員会制度の改正などを要望している。

このような問題もあり、今年1月、下村博文・文部科学相は政府の有識者会議である『教育再生実行会議』で教育委員会制度改革に関する議論を始め、夏までに結論をまとめると見通しを述べていた。教育再生実行会議は、4月15日に、「教育委員会制度等の在り方について」(第二次提言)を安倍首相に提出。下村文部科学相は、この内容を受けて、諮問機関である中央教育審議会(中教審)に対して、自治体の長(首長)が任命する教育長に権限・責任を一元化との案をふまえて検討するよう要請している。

中教審の議論の中では、「首長の方でも、選挙に当選した首長は、おそらく自分のやりたい施策、教育行政がある。しかし、政治的中立性があると、やりたいこともやれない。過疎が進んできている地域では統廃合をやらなくてはいけない。他にも例えば高校1年生に道徳を導入するなどについても、選挙で選ばれた人でなければ、主張できないだろう」との発言もあった。

しかし、村上准教授の調査では、全国の首長たちの約6割が、現行制度で良いとする回答となっている。この報道を受け、橋下市長は、10数人ほどの教育委員会事務局と数百名の教育委員会事務局とがある状態なのに全国を画一的にみるべきではないと指摘。また、教育委員会改革は教育論ではなく組織論で論じるべきとツイートしている。

「組織論」とはどういうことを言っているのか。

橋下市長は、教育のガバナンスについて、過去に何度もツイートを行ってきた。2012年10月に朝日新聞デジタルに掲載された、『NZの学校、保護者が仕切る 校長採用・予算配分に権限』という記事に対しても反応。この記事は、保護者らも参加する学校理事会が“ガバナンス”に徹し、目標実現のための具体的な“マネジメント”は、専門家である校長記事に任しているというニュージーランドの学校を紹介した記事である。橋下市長は「大阪の教育関連条例は、学校運営を学校・保護者に委ねようとするもの」として、連続ツイートを行っている。

橋下市長は、教育委員会のマネジメントが機能していない現在の例を、次のようにツイートしている。

朝日新聞デジタルの記事では、村上准教授の調査について教育委員会は必要との首長の意見が6割近くにのぼったとしながらも、現行制度について問題があるともとは考えていないということを報じている。

教育委員が会議で物事を決める現行制度をめぐり、「維持しつつ、改善を図る」に「賛成」(以下、「どちらかといえば」も含む)と答えたのは57%。教委の権限を弱めて「(方針を決めない)諮問機関とし、教育長を責任者とする」について「賛成」したのは58%だった。

こうした結果から、村上准教授は「橋下徹・大阪市長と違い、多くの市町村長は、教育委員の会議について改革の必要はあるが、残すべきだと答えている。教育が政治から一定の距離を置く必要があるとの考えがうかがえる」と話す。

朝日新聞デジタル「教委廃止、首長6割が反対 東大准教授調査」より。 2013/08/22 09:10)

しかし、具体的な改善案については、調査の結果からは見えてこない。

現行の制度で「改善を図る」ことは可能だろうか。それとも、橋下市長のように、制度を変える必要があるだろうか。あなたの考えをお寄せください。

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