11月22日午前3時ごろ、名古屋市中村区の堀川沿いにある老舗料理店「鳥久」(とりきゅう、3月に閉店)から出火、木造2階・地下1階の建物がほぼ全焼した。当時、建物は無人だったとされ、消防と警察で詳しい出火原因などを調べている。
この建物は、江戸後期から明治の間に建築されたと見られているが、マンションへの建て替えを計画する所有者と、建物の歴史的価値があるとして、保存を主張する河村たかし名古屋市長との間で意見が対立。市長が解体で使う重機での作業に必要な許可申請を保留したため、所有者側は重機などを使わずに手作業での解体をはじめたばかりだった。名古屋朝日新聞デジタルなどが報じた。
20日には、鳥久側代表の竹中均さん(56)が手作業による解体を始めたばかりだった。現場に駆けつけた竹中さんによると、前日の21日正午から午後3時ごろまで、解体業者が照明器具を外したりブルーシートをかけたりした。10日ほど前には、川側の木製の雨戸が壊される被害があったという。
竹中さんは「27歳のときから29年過ごしてきた場所。いくら解体したいといっても、こんな形になるとは思ってもいなかった。放火だとすると許せない」と語った。
(老舗料理店「鳥久」が焼失 保存めぐる議論の最中:朝日新聞デジタルより 2014/11/22 11:08)
鳥久と川を挟んで向かいにある納屋橋東地区では、30階建ての住宅棟や10階建てのオフィスビルからなる大型再開発が行われる計画があり、今後さらに街が発展することも予想される。毎日新聞によると、鳥久は経営悪化などから3月に閉店。所有者側は跡地へのマンション建設を計画していた。
これに対して、河村市長は建物の保存を主張。5月には市有地との交換などを申し出たが条件面で折り合わなかった。建物の移築についても提案があったというが、その場所に残すことに意味があるのだとの意見も出たと、河村市長は10月27日の定例記者会見で述べた。
河村市長は「戦後の戦災復興でとにかく広い道路ばかり造って、古いものをぶっ壊してきたこの名古屋のまちで、ああいう料理屋の、庶民が集まった建物のなかでは、もうほとんど最後の1個。だから、頼むで壊さんでほしい」と述べ、所有者を説得できるまで、解体申請の認可の判断を保留する考えを示していた。
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