沖縄のアメリカ軍基地反対運動の取り上げ方について批判の声が上っていた東京の地上波テレビ局「TOKYO MX」の番組「ニュース女子」で、東京新聞の長谷川幸洋・論説副主幹が司会を務めていたことについて、同紙は2月2日付朝刊1面に「『ニュース女子』問題 深く反省」との見出しで、謝罪する記事を掲載した。
記事は、同紙の深田実・論説主幹名で「(番組の)内容が本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなくてはなりません。加えて、事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません」と説明。さらに「残念なのは、そのことが偏見を助長して沖縄の人々の心情、立場をより深く傷つけ、また基地問題が歪められて伝えられ皆で真摯に議論する機会が失われかねないということでもあります」と記した。
さらに、「副主幹が出演していたことについては重く受け止め、対処します」などと綴った。
この番組を受け、ジャーナリストの津田大介さんが同局の別のニュース番組への出演を辞退した。2日付の東京新聞はこの問題に絡み、「番組の奥にある本質は何か。識者に聞く」として、津田さんへのインタビュー記事を掲載した。
■「ニュース女子」の沖縄報道とは?
問題となった「ニュース女子」は、化粧品会社のDHCがスポンサーとなっている。1月2日に放送された「沖縄基地反対派はいま」という特集では長谷川氏が司会を務め、沖縄・高江地区のヘリパッド建設現場での反対運動について、基地反対運動に関わる人を「テロリスト」「犯罪者」などと表現した。
さらに、ヘイトスピーチや人種差別への反対運動をする「のりこえねっと」共同代表で人材育成コンサルタントの辛淑玉さんを名指しし、「のりこえねっと"辛淑玉"とは何者?」「反対派の人たちは何らかの組織に雇われている?」「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」などのテロップやナレーションを流した。辛さんは取材を受けておらず、報告した軍事ジャーナリストは高江の建設現場に行っていなかった。
番組は1月16日の放送で「今後とも、さまざまな立場のご意見を公平・公正にとりあげてまいります」とテロップを流し、番組を制作した「DHCシアター」は1月20日に「言論活動を言論の場ではなく一方的に「デマ」「ヘイト」と断定することは、メディアの言論活動を封殺する、ある種の言論弾圧であると考えます。」などとする見解を出した。
一方、この番組内容について、沖縄の地元メディアは強く反発。また、東京のMX本社前では市民有志らが抗議集会を開いた。また、辛さんらは1月27日、「内容が事実と異なる」として、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会に人権侵害の申し立てをしていた。
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