注目された東京都議会選挙は、都民ファーストの圧勝で幕を閉じた。選挙は終わったものの、議会はこれからがスタート。とりわけ、新人にとっては、右も左もわからないと思うが、是非、都民のために頑張って欲しい。
少数会派に所属し活動していた元議員の経験から言えば、都民ファースト公認、或いは推薦で当選した新人議員がとても羨ましく思っている。自分が取り組もうと思っている政策を、実現させることができる可能性が高いからだ。
政治の世界は数がモノを言う。少数会派に属していたことで、現職の時はそれを痛いほど味わった。会派の人数が、規定に達していないため、条例を作りたいと思っても、議会で賛同を得るどころか、提出することさえできない。意見書1つさえ、会派の単独提出では可決されるのが難しく、何とか形にするため、最大会派に何度も頭を下げに行ったこともあった。
各会派を回って賛同を得て、進めたいと思った政策に奇跡的に予算がついたことがあったが、ベテランの職員からは、例外中の例外、文字通り奇跡的と言われた経験がある。条例を作成する、制度を良い方向に変える、必要なところに予算を回す──などを実現することが、本当の意味での議員の実績と言えるものの、少数会派に所属していると、これらを実現させるのは難しい。そうした意味から、いきなり多数派に属する都民ファーストの新人議員が羨ましくてならないのだ。
逆に言えば、進めようと思っている政策が実現しやすい環境にあるため、怠けているとすぐに底が見えてしまう。恵まれた環境の下、それぞれ前職の専門分野や知識を活かし、都民の生活をより良くするために働いて欲しい。
質問するだけ、起立するだけ、批判するだけ──これは誰にでもできる。意見を言うだけでは、実績とはならない。よく言われる改革も、たとえば、無駄を省くだけではだめ。無駄をなくして、かつ、必要なところに配分するように予算を組み替えて、初めて改革したと言えるのだと思う。
これまで、改革派と呼ばれる議員が活躍できないケースが多かったのは、議会で少数派に属する、或いは、改革派と称しながら選挙で既得権のある団体から支持を得て、いわば、"しがらみ"から逃れられなかったため。都民ファーストの新人議員は、幸い"しがらみ"がない候補が多い。東京を良い方向に変えたいという志を持って議員になったのだから、多数派に所属するチャンスを活かさない手はないだろう。それぞれの持ち味で活躍して欲しいと願っている。