東京オリンピック・パラリンピックの施設整備の見直し問題で、11月29日、国際オリンピック委員会(IOC)、国、東京都、大会組織委員会の4者による協議が行われ、被災地での競技開催は見送りとなった。朝日新聞デジタルなどが報じた。
NHKニュースによると東京都が見直し対象として提案していた新設予定だった3つの競技会場のうち、ボート・カヌーの「海の森水上競技場」(東京湾)と水泳「オリンピックアクアティクスセンター」(江東区)は予定通りの場所で整備されることがわかった。
ただし、規模の縮小などで「海の森」は491億円から300億円前後、「アクアティクスセンター」は683億円から513億円に整備費が削減される。
一方、「復興オリンピック」として被災地での開催を検討する中で、ボート・カヌーの競技場は「長沼ボート場」(宮城県)での開催案も一時浮上。小池百合子都知事が視察に訪れるなどとしていたが、見送りとなり、事前練習場としての活用が提案された。
朝日新聞デジタルは、見直し案に振り回された宮城県などには「当て馬にされたのでは」との不信感も残ったと報じている。
■有明アリーナは結論持ち越し
これに対して、バレーボールの「有明アリーナ」(江東区)については結論が持ち越された。都は「横浜アリーナ」(横浜市)の活用も検討している。小池知事はさらにコスト削減ができないかを検討した上で、「クリスマスまでに」結論を出すとした。
産経ニュースによると、有明アリーナについて、東京都側は事前の27日に行われた作業部会で、それまで約370億円としてきた整備費を、約340億円まで圧縮できると提示した。一方で、現在の計画のまま新設した場合、建設後の修繕費が65年間で計約294億円かかると都側は試算したという。
大会組織員会の森喜朗会長は、「横浜アリーナ」案について、「現実性はわからない。東京都から急に出てきて、結論を伸ばして、どういうことをやるのかと思う」と話した。
また、協議では大会全体の経費について、大会組織委員会が「2兆円を切る規模」と説明。年内に金額を公表する考えを示した。
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