ずっと不人気だったのに...「長尺」のトイレットペーパーがいま人気のワケは

「買い手や売り手、メーカーそれぞれに利点がある『三方良し』」
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キリン堂枚方大峰店の売り場。長尺の売り場が増えた=大阪府枚方市
Asahi

トイレ紙「長尺」なぜ増えた 長年普及しなかったのに...

 暮らしに欠かせないトイレットペーパー。その売れ筋に変化が起きています。見た目はこれまでとほぼ変わりませんが、長く使えるタイプが増えているのです。その背景には、売り場やメーカーが困っている問題がありました。

 大阪府枚方市のドラッグストア「キリン堂枚方大峰店」のトイレットペーパー売り場をみると、「1・5倍」「2倍」と書かれたパッケージが並ぶ。寺岡豊明店長は「以前より売れるようになり、並べる幅をほぼ2倍にしました」と話す。

 これらは製紙業界で「長尺」「増(ぞう)巻き」などと呼ばれるタイプだ。多く売られているのは1巻きシングル50メートル、ダブル(2枚重ね)25メートルだが、それより長い商品を指す。サイズは通常のものとほぼ変わらず、今使っているホルダーに入る。製紙各社は紙を巻くスピードや力のかけ方などを工夫して長尺を作っている。

 これが売れている。調査会社インテージ(東京)によると、国内市場(沖縄県を除く)で、巻きが通常の2倍以上の長尺は2017年で93億円。過去4年はほぼ毎年2ケタ増で、その伸びは市場全体を上回る。全体に占める割合は13年の4・5%から17年は7・0%に高まった。

 長尺は実は20年以上前からある。なかなか普及しなかったが、「置く場所を減らせる」と選ぶ人が増えた。長持ちするため、買う回数も減らせる。1メートル当たりの値段もほぼ同じで、安いこともある。

 買う回数が減れば、小売店が売り場に並べる手間が減る。人手不足は深刻で、この利点は小さくない。在庫を置くスペースも省けるため、販売に力が入る。

 輸送費や原材料の値上がりに悩む製紙各社も、配送回数や芯、包装の量を減らせる。「特売」になりにくく利益も確保しやすい。各社は「長尺は買い手や売り手、メーカーそれぞれに利点がある『三方良し』。今後も増える」とみる。(伊沢友之)

■巻き芯に消臭成分

 王子ネピアの「ネピア におわにゃん」は消臭機能を前面に出す。巻き芯にしみこませたイチジクやイチョウなど植物由来の消臭成分が広がり、尿や便のにおいのもとを減らすという。ダブルで1巻き45m。8巻き入りで450円前後。

■小さな凸凹、いい肌触り

 日本製紙クレシアが2016年春に売り出した「スコッティフラワーパック3倍長持ち」は、ダブルでは業界最長級の1巻き75m。肌触りをよくするため、表面に小さな凸凹をつけるエンボス加工をした。4巻き入りで430円前後。

■花の香り、吸水性バッチリ

 大王製紙の「エリエールi:na(イーナ)トイレットティシュー」は、巻き芯に花の香りをつけている。吸水性のよい紙を使い、温水洗浄トイレでも使いやすくした。シングルは1巻き100m。12巻き入りで650円前後。

■2mm短く、エコに貢献

 カミ商事(愛媛県四国中央市)は「エルモア ピコ2倍巻トイレットロール」を3月、省資源のため、紙の幅を2mm短くして108mmに変えるなど一部改良した。シングル1巻き100mで、12巻き入り650円前後。

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 大手メーカーの主な商品から選びました。価格は店頭での実勢価格で税込み(きりとりトレンド)

(朝日新聞デジタル 2018年03月14日 13時12分)

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