【UPDATE】2016/04/08 21:03
栃木県今市市(現日光市)で2005年12月、当時小学1年生の吉田有希さんが殺害された事件の裁判員裁判で、宇都宮地裁(松原里美裁判長)は4月8日、殺人罪に問われた勝又拓哉被告(33)に対し、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。裁判では自白内容の信用性が争点となったが、宇都宮地裁は「具体的で迫真性に富んだ内容」として信用性を認めた。
朝日新聞デジタルによると、判決では自白の内容について「想像に基づくものとしては特異ともいえる内容が含まれている。実際に体験した者でなければ語ることのできない具体的で迫真性に富んだ内容だ」「殺害状況など根幹部分は客観的な事実と矛盾せず、信用できる」と断定。「身勝手極まりない、残虐な犯行だ。わずか7歳で命を奪われた被害者が受けた恐怖や苦しみは計りしれない」と指摘した。
裁判では直接証拠がない中、捜査段階の自白の信用性や状況証拠の評価が争点だった。検察側は「自白は具体的で迫真性がある」と主張。自宅方面と遺体発見現場方面を往復した車の走行記録や、遺体に付着した猫の毛の鑑定結果が被告の当時の飼い猫と矛盾しないことなどから「被告と犯人を結びつける客観的事実が多数存在する」とした。一方、弁護側は「被告が犯人であることを示す証拠は、自白を除くとないに等しい」と主張。殺害時刻など自白の重要な部分が客観的事実と矛盾するとし、長時間の取り調べや警察官に「刑が軽くなる」と利益誘導された末の自白には任意性がないと争った。公判では取り調べの録音・録画が7時間超再生されたが、宇都宮地裁は3月18日、自白調書を証拠として採用していた。
勝俣被告は商標法違反罪などの区分審理で有罪の部分判決を受けており、これを踏まえた量刑となる。
NHKニュースによると、判決後に遺族の代理人が会見を開き、遺族のコメントを読み上げた。
「被告の態度や発言からは有希の命を奪ったことへの反省や、後悔などがみじんも感じられず、自分が犯した罪に対する恐怖から逃れるための身勝手な主張に怒りは増すばかりです。被告に有罪判決が出ましたが、私たちが有希を失った苦しみや悲しみがこれで終わる訳ではありません。被告には、私たち遺族と同じように、有希のことを忘れずに、命を奪った罪を背負い続けてもらいたい。有希や私たち遺族は、永遠に被告を許すことはありません」
(小1女児殺害事件 無期懲役の判決 被告は控訴の方針 | NHKニュースより 2016/04/08 18:12)
テレ朝ニュースによると、弁護側は控訴する意向を示した。勝俣被告は「やっていないから納得できない。どうして法廷で真実を述べているのに」と話しているという。