東武鉄道8000系、5つ目のリバイバルカラー-昭和30年代の通勤形電車標準色が約半世紀ぶりに復活!!-

近年の東武鉄道は、特別塗装やリバイバルカラーが百花繚乱の如く、鉄路をにぎわせている。
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近年の東武鉄道は、特別塗装やリバイバルカラーが百花繚乱の如く、鉄路をにぎわせている。今回も8000系が1度も身にまとったことがない「昭和30年代の通勤形電車標準色」(以下、標準色)のリバイバルカラーがよみがえり、亀戸線で運行されている。

■短命だった標準色

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鮮烈な姿になった8577編成。

今回、リバイバルカラーを身にまとったのが8577編成(2両車)で、インターナショナルオレンジの車体に、ミディアムイエローの帯を巻く。

このカラーリングは、昭和33年(1958年)10月に試験投入されたのち、20メートル級通勤形電車の標準色に決定した。しかし、昭和38年(1963年)4月の社内会議で、2000系(18メートル級通勤形電車)と同じツートンカラー(インターナショナルオレンジとロイヤルベージュの組み合わせ)の統一を決定。同年7月以降、標準色車両の塗装変更が行なわれ、昭和39年(1964年)頃に姿を消したという。

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東あずま駅の駅舎。

今回、約半世紀ぶりに標準色を復活させ、亀戸線で運行されるのは、「亀戸線各駅の駅舎の佇(たたず)まい」、「2両編成で走る列車の姿」、「沿線の下町情緒たっぷりの町並み」が標準色の運行に合うからだという(楠元道明亀戸駅長談)。なお、車両運用の都合で、お休み、もしくは大師線で運行する日もある。

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出発式の様子。

標準色は、「下町の魅力再発見ラリー」の開催に合わせ、平成28年(2016年)3月23日に団体専用列車〈たびじ〉として、営業運転を開始。あづま幼稚園の園児約20人とその保護者らが1号車に乗車(2号車は業務用)。このうち園児5人は東武の制服と帽子を着用し、出発式に参加した。

■参加者は21分のミニトリップを満喫

団体専用列車〈たびじ〉は、定刻通り13時58分に発車。ほかの園児たちも制服と帽子を着用し、記念撮影などで充実した1日を楽しんでいる様子。参加者はロングシートを"ボックスシート感覚"でくつろぐ。

車内では、広報による東京スカイツリーのビューポイント案内や、業平橋乗務管区の方々による乗車記念カード(図柄はもちろん標準色)の配布が行なわれる。このカードは、入園前と思われる子供や、乗車取材を希望したメディアにも配られた(参加メディアの多くは、出発式のみ取材)。

列車は各駅に一旦止まってから発車を繰り返す。駅付近及び駅構内の踏切は、列車の到着に合わせて作動しており、通過が困難なのだ。また、運転士は定期列車に接近しないよう、一部区間で徐行運転を行なう。

地平から高架へ上がると伊勢崎線に合流し、曳舟5番線に到着。折り返しのため2分停車する。発車直前、日光詣スペーシア(特急スペーシア〈きぬ122号〉浅草行き)が隣の4番線を通過。園児たちは"荘厳の金色車両"に無関心のようだが、大人にとっては"サプライズ"で、歓声をあげる。

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車内放送体験では、園児たちが元気よくアナウンスした。

後半は車内放送体験と亀戸線最高速度クイズで盛り上がり、14時19分に再び亀戸2番線へ。撮影など、多くの人々に楽しんでいただけるよう、15時31分まで留置した。

☆東武鉄道の特別塗装&ほかのリバイバルカラー一覧

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「日光東照宮四百年式年大祭」、「日光山開山1250年」を記念して、サニーコーラルオレンジ基調の103編成を特別塗装「日光詣スペーシア」に塗り替え、平成27年(2015年)4月にお目見えした。その後、JR線直通対応車の106編成も塗り替えられている。こちらは個室の壁クロスを金に変え、豪華さをより一層醸し出している。

②8000系8111編成(6両車)

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8000系最後の原型顔。平成23年(2011年)6月末に定期運用を離脱したのち、東武博物館が引き取り、通勤形電車では異例の動態保存(乗務員は引き続き東武鉄道が担当)をすることになった。再修繕ののち、カラーリングも登場時と同じツートンカラーとなった。平成24年(2012年)8月29日より不定期運転を開始。現在は本線系統(伊勢崎・日光線など)で活躍している。

③8000系81111編成、8000系81107編成(いずれも4両車)

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平成26年(2014年)の東上線開業100周年イベントの一環として、ツートンカラーの後継色となったセイジクリームを81111編成で復活した。先頭車の前面形状は修繕工事により変わっているが、車体側面は行先表示器の設置以外、ほとんど変わらない。座席のシートモケットも当時使用されたオレンジに交換された。

のちに、修繕車の81107編成をツートンカラーに塗装変更。8000系森林公園検修区所属車は、歴代のカラーリングが揃えられた。

上記の車両は、東上線小川町―寄居間及び越生線で活躍している(後述の8198編成も同様)。

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平成27年(2015年)の東上線全通90周年を記念し、伝説の行楽特急〈フライング東上号〉の象徴色と言える濃厚な青に、黄色の帯を巻いた。8198編成は塗装に対し、51092編成は自社初のフルラッピングで再現した。

なお、51092編成については、東上線池袋―小川町間で運用されている。

○おことわり

普段は西暦で記述していますが、今回は和暦と西暦の併用としました。何卒御了承願います。