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突出したスキルがなくても一番に手を挙げる。チケットキャンプ、28歳・執行役員のキャリア感

チケットキャンプを手掛けるフンザの執行役員・松浦想さん。激動のスタートアップ道を歩んできた松浦さんは自身のキャリアをどう振り返るのか?
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フンザの執行役員、松浦想さん(28歳)はなかなか珍しい経歴の持ち主だ。新卒入社したウノウはZyngaに買収。チーム解散後、チケットキャンプを手掛けるフンザの立ち上げに参画。2015年3月にはミクシィがフンザを115億円で取得して同グループの一員となった。彼は20代をどう駆け抜け、何を見てきた?

公務員志望だった青年を魅了した「Web」の世界

松浦想さんは一見すると、どこにでもいる28歳の青年。ジーパンにTシャツ、サンダルというラフな格好。街を歩けば学生と間違われてもおかしくない、そんな若い彼こそテレビCMでもおなじみ「チケットキャンプ」を手掛けるフンザの新しい執行役員だ。

じつは公務員の一家に生まれた松浦さん。自身も「公務員になることがあたり前」と、大学では公務員試験の勉強に励んでいた。しかし、人生の岐路がやってくる。

たまたま友人に誘われたサイバーエージェントでの学生アルバイト。そこには「Web」を仕事として楽しむ人たちの姿があった。

学生なのに新規事業の部隊に入れてもらって。海外向けの企画だったんですが、遊びながら動画を撮ってYouTubeにあげたりしていたんです。ぼくの手元がアップで映るんですけど、海外のユーザーから「お前、指の“ささくれ”がヤバイぞ」とコメントがついてバズったりして。「そこかよ!」という感じでしたね(笑)

そんなWebのおもしろさに魅了され、公務員試験の勉強をスパッとやめた松浦さん。大学4年生になると現メルカリの山田進太郎氏が率いていた「ウノウ」で内定者として働きはじめる。…が、その4ヶ月後、2010年8月にウノウはZyngaに買収され「Zynga Japan」に。さらに2013年、Zynga Japanは解散へ。

そこからチケットキャンプ(フンザ)の立ち上げに加わり、たった創業2年でミクシィグループの一員に。2015年3月当時、ミクシィによる「115億円」というフンザの取得金額も大きな話題となった。

転職回数0回にして激動のスタートアップ道を歩んできた松浦さん。彼が見てきたスタートアップ、そしてバイアウト後の景色とは? そして自身のキャリアをどう振り返るのか? 20代、Web業界でキャリアを歩んでいく上でのヒントを探りたい。

ウノウ・Zyngaが教えてくれたこと

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― 少しウノウ時代のことから伺わせてください。新卒採用のイメージがあまりないのですが、どんな選考だったんですか?

じつは学生バイトみたいなスタートだったので、ゆるい感じでしたね。とはいえ、ちゃんと山田進太郎さんにも面接してもらったのですが、選考に進むなかで、質問にちゃんと答えられた感じがせず…あまり感触は良くなかったんです。

― なぜ、受かったのでしょう?

うーん、ホントによくわからないんです(笑)ただ、手を動かしたり、自分で作ったりみたいなことは大事だったのかもしれません。 その前に、サイバーエージェントの学生バイトで新規事業に参加していて。あとから知ったのですが、その裏側の開発をウノウが手がけていたらしいんですよね。もしかしたらぼくが作ったものも知ってくれて…いや、やっぱり「なんとなく」かもしれませんね(笑)

― 当時の空気感としてそれもリアルですね。実際、ウノウではどんな仕事を?

はじめの2週間は「まちつく!」のカスタマサポートをやっていたんですけど、すぐ「新しいゲームを作るから」とプロジェクトに入れてもらって。現在フンザでCTOをしている酒徳と進太郎さんとぼく…いま思うと謎の3人ですが、新規事業やっていました。

― すごく貴重な経験ですよね。

うーん、進太郎さんのことも以前から知っていたわけではなかったし、「すごくTwitterのフォロワーが多いなぁ」と感じてはいましたが、わけのわからないまま、とりあえず全部やってみるだけというか。いきなり「デザイン会社3社ぐらい呼んでコンペ設定して」と言われたんですけど「コンペってなんだろ?」という状態だったんですよね。

その他には、エンジニアと一緒に仕様をかためたり、ユーザーと売上を伸ばすための分析をしたり。「やって」と言われたらやってみる。そのくり返しだったので「全く知らないこと」を振られてもビビらなくなったかもしれませんね。まわりに聞きまくったら何とかやれるもんだな、と。けっこう免疫はついたと思います。

「誰よりも早く手をあげる」で経験値アップ

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― 当時、職種としては何になるんですか?

そういえば…あんまり気にしたことなかったですね。ディレクターかな、たぶん。

― 肩書きだったり、職種だったり、気になりそうなものですが、そこを見ていなかったのもユニークですね。その中でもご自身の得意な領域は?

運用でいかに売上を最大化するか?というところはウノウの頃からやってきたところですね。…ただ、なにか突出したスキルはなくて、ぜんぶ「中の中」ぐらい。特に武器と呼べる武器もありません(笑)

― 逆に何が買われて今があると?

すこし思うのは、突出したスキルがある人たちのなかで、何ができるかよりも、とりあえずやってみるということ。とくに新規事業をやるとなったら、まず一番に手を上げる。そういう前のめり感はあったと思います。

ウノウやZynga、フンザでも最年少で、できることがほとんどないところからのスタートで。なので「こうなりたい」を考える暇もなかったんですよね。どちらかというとマインドから、やらせてもらえることが増えていった。そういう意味だとやらせてもらえることがいっぱいある場所に飛び込んでみるのは面白いと思います。

無意識的にそこに飛び込んでいたのかも…まぁあとは単純に同じことをずっと続けるのが苦手というのもあるんですけどね(笑)

― Zynga Japanが解散するとなった時も、チケットキャンプをやろうと決めていたんですか?

いえ、はじめは普通に転職活動していたのですが、ピンとくるところがなくて。ちょうどそのタイミングで現フンザCEOの笹森からチケットキャンプで起業しようと思っているという話をきいて。もともとぼくがアイドルオタクをしていた時にチケットを入手できずにオークションサイトで血眼になって探している姿を笹森が見て、ビジネスチャンスを感じたのがきっかけでもあったし、「やってみる?」と聞かれたので「あ、やってみたいです」と決まりました。

― かなりライトですね(笑)けっこう大事な決断だと思うのですが…?

みんなができないこと、選ばないだろうなっていう方を選んだほうがおもしろいよな、と。たぶん30代になったらまた違う考え方をしていそうだし、今だからこそ「0から1を生み出すこと」をやろう、そんな発想でしたね。

― いろいろな組織を見てきた松浦さんですが、スタートアップで優秀だと思う人の共通項ってありますか?

いくつかの選択肢があるなかで「これはAでやるべき」みたいに断言できる人ってすごいと思います。強く断言ができる人ほど裏で努力していることが多い。国内外のいろんなサービスを触りまくっていたり、かなり技術の勉強をしていたり。

CEOである笹森もCTOの酒徳も「こうあるべき」が語れるんですけど、そのバックグラウンドを考えると、やっぱり誰よりも情報をキャッチアップしているし、勉強しているんですよね。意外と簡単なように見えて、なかなかできないですよね。

仕事は、終わらない文化祭?

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― 最後に、これから実現していきたいことなどあれば教えてください。

「チケットキャンプをより成長させていく」というのはそうですけど…ぼく自身でいうと新卒で入った会社が1年半でなくなったり、フンザも2年でミクシィグループになったり、先のことって正直全然わかんないなって(笑)

強いていえば、「あ、これやりたい」って思った時に、やれるだけのスキルが自分に身についているか、もしくはお願いできる人が周りにいるか。その環境づくりは常にできたらいいと思います。まあ「今、がんばる」っていう話になるんですけど。

― 気負いがないというか、先を考えすぎないというか。松浦さんのお話を伺っていると、いい意味で肩にチカラが入っていない印象です。「仕事を楽しむスタンス」というか。

もう生活そのものになっている感じですよね。あとは「文化祭」みたいなところもあって。終わらない文化祭。みんなが同じ方向に一生懸命走っていく。特にフンザに入ってからは一体感をすごく感じています。

ぼく自身も4月からプロジェクマネージャーとしてちゃんと文化祭が開催できるように、人の調整やマネジメントにもチャレンジしているところ。けっこう壁の連続で…。「この文化祭、いつ終わるんだろう」って思うこともありますけどね(笑)それも含めて楽しんでいけたらと思います。

― 文化祭実行委員のような苦悩かもしれませんね(笑)特に若いうちは「どうキャリアを築くか?」と頭で考えがちですが、いま目の前にある仕事をこなす、来た球を全力で打ち返すことで見えてくるものもあるのかもしれませんね。本日はありがとうございました!

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