1989年、中国・北京の天安門広場で、民主化を求めるデモ隊を人民解放軍が武力弾圧した、いわゆる天安門事件から、6月4日で25年になる。
中国はいまだ言論の自由を認めておらず、25周年の記念日を前に、人権派の弁護士が拘束されたり、Googleのサービスが一部使えなくなるなど、きな臭い事態に発展している。
こうしたなかで迎える天安門事件から25年目の6月4日は、「極めて敏感な時期」(中国当局者)となった。今月に入り、人権派弁護士、浦志強氏をはじめとする多くの人々が拘束されたり、連絡がとれなくなったりしている。
(朝日新聞デジタル「(消される言葉 天安門事件から25年)「微博」の自由、せめぎ合い」より 2014/05/30 05:00)
中国当局のインターネット検閲を監視する団体「GreatFire.org」は2日、今週で天安門事件の発生からちょうど25年となるのを前に、米グーグル(GOOGL.O: 株価, 企業情報, レポート)の検索およびメールサービスなどが広く接続不能になっていると発表した。
(Reuters「中国でグーグルが接続不能、天安門事件25年を前に=監視団体」より 2014/06/02 21:44)
また、NHKの中国向け海外放送も6月1日、天安門事件に関する部分が流れる瞬間、画面が真っ暗になり、音声が聞こえなくなっている。
天安門事件では死者が出たことは確認がされているものの、正確な数はわかっておらず、諸説ある。当時、デモ隊への人権侵害に国際的な非難が集まったものの、事件後、急速に発展する経済を背景に中国は国力を増大。人権問題は進展していない。
締め付けが強まる背景について、経済の減速や格差の拡大など、事件当時と似た状況になってきている、と朝日新聞デジタルでは報じている。
治安当局者の1人は「(天安門事件の)当時と状況が似てきていることを党は憂慮する」と語る。25年前、学生らは民主化とともに、貧富の格差や党官僚の腐敗問題を訴えた。同様の不満は今、より深刻さを増し、中国社会に広がる。
国民の政治参加の欲求を抑え込んできた急速な経済成長も、ここにきて減速感を強める。新疆で相次ぐ爆破事件では、政府のこれまでの少数民族政策が厳しく問われている。
不満の矛先をそらすかのように、南シナ海でのベトナムとの争いをはじめ、対外的には強硬一辺倒しか選択肢がなくなっている。
(朝日新聞デジタル「(消される言葉 天安門事件から25年)「微博」の自由、せめぎ合い」より 2014/05/30 05:00)
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天安門事件で、有名な写真、映像がある。
事件が起こった翌日の1989年6月5日、北京市街に人民解放軍の戦車が列をなして道路を進んでいるところに、バケツを持った男が立ちはだかった。戦車がよけようとすると、男は戦車の動きに合わせて進路を妨害する。この無言の抵抗をとらえた、歴史的な瞬間は、多くの人の記憶に残っている。
この瞬間をとらえた写真は、ピュリツァー賞も受賞している。
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