Three is the new two!

生後2週間の長女(我が家の3人目、末っ子)を妊娠していた時に何人かの友人に言われた言葉があります。Three is the new two! 「今は子供3人がひと昔前の子供2人に相当するくらいスタンダードなのよ」という意味。
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Gabor Geissler via Getty Images

生後2週間の長女(我が家の3人目、末っ子)を妊娠していた時に何人かの友人に言われた言葉があります。

Three is the new two!

「今は子供3人がひと昔前の子供2人に相当するくらいスタンダードなのよ」という意味。

『働く女が産んでいる。』というエントリーに引用したThe Economistの記事に、

最近、カップルが裕福であるほど子どもの数が増えている。 アメリカでは夫の収入がトップ10%の妻が産む子どもの数は100年前のレベルまで回復した。 子沢山であること自体がステイタスなのかもしれない(『ブランジェリーナ効果』と呼ばれる)

とありましたが、確かに私たちの周りでも息子の保育園のお友達の家は全員判で押したように子供2人なのですが、ビジネススクール同級生を見渡すとロンドン組(& アメリカ組)は子供は最低2人で3人いる友人もかなり多いし、4人いる同級生もいます。

この"Three is the new two"というキーワードで検索してみると、やはりアメリカがトレンドをリードしているようで10年も前のUSA Todayの記事に出てきました(フランス人の友人によると、「フランスでは3人が普通」とのことなので英語の記事でヒットしたのがアメリカの記事というだけですが)。

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上のチャートが3人以上の子供を産む女性の割合、90年代後半から上昇に転じたのがわかります。

プロフェッショナル職のキャリアウーマン中心に始まったこのトレンドはニューヨークやボストンなど大都市で顕著に見られ始め、金融危機の後も続きます。

The Boston Globe: Full house(フルハウス)(2006年)では、

Three is the new two and in some towns - especially affluent ones - four or more is the new three. educated moms who once managed budgets and schedules at work are now doing the same in their homes teeming with kids.

今は「子は3人」が以前の「2人」に匹敵する、特に裕福な家庭が多い街では「4人以上」が以前の3人と同じ感覚。 職場で予算やスケジュール管理を経験した高学歴ママは今は家庭で子供たちと同じことをしている。

として、3人どころか4人・5人が当たり前のボストンのある街の話。 高学歴女性が多いマサチューセッツ州では今でも全国平均よりも出生率が低いものの、90年代以降はキャリアを上り30代になってから産み出した女性の中で専業ママとなって大家族を築く新しいトレンドが産まれた(不妊治療の普及で双子や三つ子が増えたことが大家族化に拍車をかけた)とのこと。

For parents who have one child, feelings of gratitude mingle with the occasional twinge of defensiveness

ひとりっ子の親には感謝の念と反射的な自己防衛が入り混じる。

として大人数の子供を持つのが当たり前の裕福な地区でひとりっ子を持つ親が周囲から受ける精神的な圧力についての記事。

ニューヨークでもNew York Observer : Two Kids? So Bourgeois! The New Rule of Three(子供3人?まあブルジョワだこと! - 3人育児の新しいルール)(2005年)が、「物価が高いマンハッタンで3人目の子供(を養えるほどお金があること)がステイタスシンボルになっている」とトレンドに敏感なファッション誌エディターの言葉を紹介したのが金融危機前の2005年。

今年になって、The New York Times : The Three-Seat Strollers - The Growing Three-Child Household in Manhattan(トリプルベビーカー - マンハッタンで増加する3人子供の家庭)(2014年)という記事が出ましたが、同じThe New York Timesで15年前の1999年には"We Are Family: Mom, Dad and Just Me(僕たち家族:ママ・パパとボクだけ)"という記事が出ています。 1999年にはマンハッタンのファミリー世帯はひとりっ子世帯が一番多かったのが、15年で変わるものですね。 ブルックリンやアッパーイーストなどでは1990年から2人以上の子供を持つ世帯は2桁増えたそうです(90年代以前は2人以上持つ世帯はニュージャージーなど郊外に引っ越していた)。

ここでも「子供を3人以上持てるのはステイタスシンボル」という表現が出てきますが、競争社会のアメリカならではなのかもしれません。

3人子持ちの友人がたくさんロンドンにいる私たちの実感からすると、「子供は恐ろしくお金がかかる。 趣味だって旅行だって以前のようにはできないし、小さいうちはとにかく手がかかるし、万年の睡眠不足。 でも既に2人いるんだからそれが3人に増えたところで、2人から3人になることの大変さ(incremental hardship)より2人から3人に増えることの楽しさ(incremental happiness)の方が上回るんじゃないの?(という淡い期待) どうせ大変なんだからやってやれー!」ってところが3人に至った本音かなー、と思います。 また「周りにたくさんいる」という環境は大きいです、自分たちでも何とか回せるんじゃないかと錯覚させてくれるので。

(2014年9月17日「世界級ライフスタイルのつくり方」より転載)