ずっと音が上がり続ける「無限音階」の不思議

目で見る錯覚はおなじみだと思うが、実は、耳で聞く錯覚もある。下の動画では、音階が自動的に繰り返されている。毎回同じ音階が再生されるので、何度聞いても同じはずだ。だが、奇妙なことに、音が永遠に上がっていくように聞こえないだろうか。
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dolgachov via Getty Images

目で見る錯覚はおなじみだと思うが、実は、耳で聞く錯覚もある。

下の動画では、音階が自動的に繰り返されている。毎回同じ音階が再生されるので、何度聞いても同じはずだ。だが、奇妙なことに、音が永遠に上がっていくように聞こえないだろうか。

この動画をYouTubeにアップロードした「maricv 84」の説明によれば、この錯覚は、「sonic barber's pole」(音で構成された理髪店のサインポール)などの名前で呼ばれる現象だという。

シェパードの無限音階」とも呼ばれている。アメリカの有名な認知科学者ロジャー・シェパード氏が1967年に考案したからだ。

「1オクターブずつ離れた多数の音が同時に再生されると、平均的な人の耳には、1つの音しか聞こえない。その音がそれぞれのオクターブ音に分かれて聞こえるのではなく、最後に聞こえた高さに最も近い音しか耳に届かない」と、maricv 84は説明している。

この音階を鳴らし続けると、高くなっていく音は次第に聞こえにくくなり、低い方の音が聞こえやすくなるため、それに応じて、人間の脳が注目する音が変わっていく。この変化によって、同じ音階を最初から繰り返し再生しても、まるで音の高さが上がり続けているかのように聞こえるのだ。

「アトランティック」の記事によれば、この現象は、音響効果や作曲にも活用されている。たとえば、映画『ダークナイト』で音響効果を担当したリチャード・キング氏は、この現象を利用して、バットマンの「バットポッド」の速度がぐんぐん上がり続けるような錯覚を引き起こすことに成功している。

スライドショーでは、さまざまな「目の錯覚」を紹介している。

[Cate Matthews(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]

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